無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

776. 不完全なふたり

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引用元:amazon.co.jp

 

2005年のフランス・日本合作

 

原題は「Un Couple Parfait」完璧なカップル(真逆?)

 

 

周囲の誰もが「理想の夫婦」と言う建築家のニコラ(ブリュノ・トデスキー)と最近は活動をしていない写真家マリー(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ

 

結婚して15年になりふたりは今、ポルトガルリスボンで暮らしている

 

そして共通の友人の結婚式に参加するためにパリにやってくる

 

車内での会話も弾まず、ホテルに着いてからも疲れもあって衝突しがちなふたり

 

マリーはあらゆるタイミングでニコラに絡もうとして、一度始まると必ず人格否定のレベルにまで達するような罵倒を繰り返しては(ニコラの反応が無くなると)自己嫌悪に陥る

 

そして友人たちとの食事の席で「相変わらず理想的な夫婦だね」と言われ、ニコラはうっかり「実は離婚する予定だ」と喋ってしまう

 

 

 

監督は諏訪敦彦

 

フランス語は分からないという中で、場面の状況と進行を確認した後はアドリブに任せながら指示していったそう

 

言葉を越えて伝わる空気で監督の仕事が果たして可能なのか疑問ではある(俳優陣と周囲のスタッフにも恵まれたこともあるのだろう)けれど、観る限りぎこちなさは感じられない

 

映画そのものは余白を活かした雰囲気のある作りながら、撮影に関してはカメラ固定の長回しや、顔がはみ出すくらいな人物へのズームなど明確な意図が感じられる

 

 

 

ふたりが何故離婚を決めたのかについては描かれていない

 

マリーは時々ヒステリックになるほど嫌っているし、ニコラはそんな彼女に心底呆れている

 

それなのにマリーは突然甘えてきたり、まだ未練を残しているような思わせぶりをしたり

 

その辺りを追求しない(繋がりのストーリーとして提示しない)映画なのだろうけれど、そうすると夫婦生活で抱えていたものの重さもそれ程でもないのかと意地悪な観方にもなってしまう

 

いづれにしても15年も一緒に居た相手を否定することは(いろいろ理由があるにしても)自らを否定しているようなものだと思うけれど、そういう考え方は通じ無さそうなふたりではある

 

 

明日は、ロシアで撮影されたアメリカ映画を紹介します