年末にユーロスペースにて鑑賞
韓国・ソウル市の南東に、1980年竣工されたトゥンチョン団地
政府の推進する住宅供給政策の一環で、18万坪の敷地に143棟が建てられ、5930世帯が暮らしていた
当時は「マッチ箱団地」と呼ばれながらも、アジア最大の団地として、住人たちも自慢していた
ところが、2000年代から再開発の議論が始まり、団地を壊して再開発するには、老朽化しているように見せる必要があるということで、多くの住人が家まわりや共用エリアの手入れをしなくなる
その結果、2017年に再開発が決まり、2021年に撤去が完了する
本作は、そんな巨大な団地に住み着いた猫たちを救おうとする人たちのドキュメンタリー映画
約250匹の猫たちは、長かった再開発に向けた議論が進む中も、そして団地が老朽化して住人が次第に減っていく中でも、十分(過ぎる)なエサを与えられていた
そんな猫たちがこれからどうなってしまうのか?心配になった住民たちによって、移住計画を立て実行する「猫の会」が結成される
元々は住民が飼い始めた猫が次第に増え、野良猫化して、住民の居なくなった建物に住み着いたもの
帰属習性のある猫とはいえ、団地がとり壊されるなど知る由もなく、エサをやりながら、一匹づつの写真を撮り、イラストを描いてパンフレットにし、安全な場所に移動させてから、その後の移住計画を立てていく
作業としては「後始末」な印象ながらも、ペットとの共存という意味では、それぞれの飼い主が個別の責任を負うという従来のスタイルではなく、団地内での放し飼いを住人たちの共同責任で行うというスタイルも可能なのでは?と思ったり
コロナ過の生活が長期化し、人間とペットの関係も見直されている中、我が家も(偶然、コロナ生活が始まる少し前に)猫を飼い始め、在宅勤務中に癒されてきた
自宅の中で与えるエサの管理をするのは簡単だ(もっとあげたくなる)けど、集団で飼うとなると、そうした加減がなかなか難しくて大変化もしれない
命の問題でもあり、「ペットとは?」という本来論含め、いろいろ考えさせられる