無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1158. 楽園

引用元:rakuen-movie.jp

 

2019年の作品

 

原作は吉田修一の短編集「犯罪小説集」からの二作品

 

脚本・監督は「64 - ロクヨン - 」や「とんび」の瀬々敬久

 

 

 

広い田んぼの中の、車一台がやっと通るほどの細い道

 

祭りの準備(笛の演奏)を終えた紡(つむぎ - 杉咲花)は、夜、自転車で家路に着こうとしていた

 

すると、後ろから一台の車が、まるで紡を追いかけてくるかの様に走ってくるのに慌てて転倒、カバンの中に入れていた笛は壊れてしまう

 

車から降りてきたのは、この集落に住む廃品回収をしている無口な男・豪士(綾野剛)で、彼にはまったく他意は無く、紡が倒れ、笛が壊れたことにひどく申し訳なさそうに謝り、笛をどうするのかと紡に問う

 

「明日、町まで買いに行く」という紡に

 

「じゃあ、車で送るから朝の7時にここで」と言う豪士

 

 

祭りの当日、12年前にこの集落で少女が行方不明になる事件が起こった同じ場所で、再び少女が行方不明になり、豪士にその容疑がかかる

 

また事件の1年後に、近くで養蜂を営む善次郎(佐藤浩市)は、村の為にと考えた養蜂にちなんだ村興しの計画で、地元の老人たちの反感を買い、村八分になってしまう

 

妻を白血病で失った善次郎は、会社勤めを辞めてこの土地に戻り、養蜂を始めていたが、当初は周囲から勧められていた夫を交通事故で亡くし出戻ってきた久子(片岡礼子)との仲も、(久子本人は変わらぬ好意を示すものの)今では陰湿ないやがらせを受けるまでになっていた

 

充実のスタッフ、キャストによって重厚な人間ドラマに仕上がっていて、観応えありだったけれど、集落の描かれ方が気になって(いくらフィクションとはいえ)集中力を削がれてしまった

 

過去の痛ましい事件の影響とはいえ辛辣な言葉を投げつけたり、他人の成功を村の秩序を口実に妬み足を引っ張ったり、断片的な憶測で(自分たちと調和しない者を)貶めたり、個人レベルでも集団レベルでも閉塞的で排他的に描かれている

 

 

東京の青果市場で働き始める紡は、誰とも関りを持たず暮らすも「あそこから逃れられただけで十分」と言う

 

唯一の楽しみになり得た、幼馴染の青年・野上(村上虹郎)は、もう少し魅力的に描いて欲しかった

 

 

厚木基地厚木市ではない、ということを知る映画をご紹介

 

www.youtube.com