下北沢トリウッドにて鑑賞
座席数47席で、スクリーンもそれに相応しいサイズで観易い
が、肝心の作品は、まったく観易くなかった
というか、自分史上最高(最悪?)レベルに混乱させられてしまった
東京での仕事を辞めて、15年前から長野県の実家で親の介護をしている42歳の圭子(宮澤美保)
その間、父が亡くなり、一緒に介護していた母がアルツハイマーになり、今ではもう会話も、意思の疎通もできなくなっていた
食事を用意しても、毎回手掴みでボロボロこぼしてしまう
外出は最低限の買い物と病院、人との会話も病院の先生や、時々家に来る役所の人、そしてヘルパーさん、という毎日
そんなある日、徘徊していた母(圭子が買い物中に家を飛び出した)を見つけてくれた高校の同級生(清滝美保)から、(高校の時につきあっていた)賢治(永栄正顕)がドラッグストアで働いていることを知らされる
会ってどうするつもりもなかった圭子だったが、髪を整え、服を選び、忙しい中、ヘルパーさんが来てくれる僅かな時間を使って、賢治が働いている店に向かう
店内でこっそり様子を窺っていた圭子だったが、賢治と目が合った瞬間に取り乱し、暫く自分のことを認識できなかった賢治の前から、恥ずかしさのあまり走り去ってしまう
やっと気づいた賢治が「圭ちゃん!」と追いかけ、逃げようとする圭子は店の駐車場で転んでしまう
賢治が怪我の手当てをしていると、ヘルパーさんから携帯に「お母さんが暴れて手が付けられないので、すぐに戻ってきてください」という電話が入る
(取り乱した様子で自宅に戻ろうとする圭子を心配して)「こんな状態で運転したら事故するから、代わりに運転するよ」と賢治の運転で家に戻る
前半は絶望的、かつ悪化していく介護の状況が詳細に描かれ、観ていて辛くなるも、後半に入るとさらに大きな不幸が襲い掛かり、衝撃のラストを迎える
年末に観た作品の衝撃を、今でもまだ消化しきれていない状態
鑑賞中は、(作品が良い悪いではなく)「これは何か違う!」と拒絶反応をしてしまったけれど、劇場を出てからぼんやりしたまま過ごしていると、「どういう意図があるシーンだったのだろうか?」と、前向きに探ろうとしていた(今もまだこの状態)
そういう意味では、座席数47席くらいが相応しい作品だろう
スタッフは僅か5名、演者の8割は地元長野県民で、役者経験の無い人たちも含まれているという
そう知って驚いたくらい、映像もサウンドもそして演技のクウォリティも高く、消耗する展開を最後まで集中して観られた
この衝撃は、大掛かりな編成で作ることも、大型シアターで上映されることも難しかっただろう
「かなり、お口に合わない可能性もありますが、苦情はご勘弁を」
というスタンスの映画(?)なので(個人的には劇場で観られて本当に良かったけれど)観る側にも覚悟が必要な作品