引用元:amazon.co.jp
2008年の作品
出版社に勤める翔子(木村多江)は妊娠していることがわかり、新しい生活に向けて忙しい毎日を過ごしていた
夫のカナオ(リリー・フランキー)は、絵をかく仕事を希望しながらもバイト感覚で靴の修理をしながら日銭を稼ぐので精一杯
先輩から法定画家の仕事を紹介され、カナオは「一枚8万円」という割の良さに惹かれ引き受けることにする
時代は90年代
東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件や地下鉄サリン事件、小学児童殺傷事件などの公判を傍聴しながら容疑者のスケッチをしていく中で、カナオは被害者の悲しみや怒り、そして同僚になる記者たちの想いに触れる
そんな中、ふたりにとって待望の子供が亡くなってしまい、翔子は次第に精神的なバランスを崩していく
90年代といえば以前「スワロウテイル」で90年代の空気感が漂うと書いた
本作で描かれる90年代も同じなのに、音楽や文化的な要素から振り返る10年間と、本作の様に事件や出来事で振り返る10年ではかなり毛色が異なる
人の数だけ印象も違うだろうし、記憶に残るもの(残らないもの)も違うだろう
それでも同じ国で同じ10年を過ごしていればこその
「あー、そういうこともあったなあ」
という感覚を共有できるのは素晴らしい、と単純に感じる
観ているこちらまで病んでしまいそうな、翔子が徐々に崩れていく様を木村多江が熱演
突然壊れたように泣き出したり笑いだしたりという「自然じゃない」演技を自然にするのは素人目にも難しそうだけれど、まったく違和感なく演じている
本作の様な「濃い」ストーリーを端折ることは難しいだろうけれど、個人的にはもう少しコンパクトな方が、想いがより伝わると思う
それとトンカツ屋の描写は、もう少しお手柔らかに描いて欲しかった