無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

91. ダウン・バイ・ロー

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監督、主演、ロケ地が揃いも揃って好きな作品

 

トム・ウェイツジョン・ルーリー、そしてロベルト・ベニーニジム・ジャームッシュが監督 そして舞台はニューオリンズ

 

 

 

ニューオリンズがあるルイジアナ州南部の大半では、ミシシッピー川がメキシコ湾に流れ込む土砂が堆積してできる「ミシシッピーデルタ」を形成している

 

本作は全編モノクロで撮影されているけれど、三人が脱獄後に彷徨うデルタ地帯の雰囲気はカラーで撮るよりも断然雰囲気がある(その昔、小さなボートで支流を上っていくツアーに参加したことがあるけれど、との時のイメージは本作とマッチしない)

 

DVDで何度も観たから、もう最高の組み合わせとしか思わないけれど、よくもこの灰汁の強い三人を共演させようと思ったものだ(監督は重要視していないのだろうけれど、ベニーニ以外は元々俳優ではなくミュージシャン)

 

 

ニューオリンズの(かつての)名物DJ、リー・ベイビー・シムズを名乗るザック(トム・ウェイツ)は、落ちぶれた毎日を過ごしていた

 

ある日ジャガーを一時間運転するだけで$1,000貰えるという、いかにも怪しい仕事を引き受けてしまい、案の定、逮捕されてしまう

 

ポン引きのジャック(ジョン・ルーリー)は、縄張り争いをしているライバルに騙されてザックと同じ牢獄に入れられてしまう

 

プライドと個性の強いふたりは、当然の様に息が合わず黙り込んでいるところに、お喋りなイタリア人のロベルト(ロベルト・ベニーニ)も殺人で収監され、口数の減らないロベルトに対してクールな二人がシニカルに返すという絶妙なバランスの三人組が誕生する

 

ある日、ロベルトの提案で三人は脱獄し、ルイジアナの森を抜け、川を渡り、たどり着いたボート小屋でミシシッピーに向かうか、テキサスに向かうか言い争うも、土地勘も無い三人はボートで同じ場所を周回した挙句、浸水でボートを沈めてしまう

 

誰のせいでこうなったか非難し合いながらも、三人は数日後に森を抜け一本の道に出る

 

すると、目に前にレストランのような一軒家があり、偵察としてロベルトが向かうことになるが、行ったっきりなかなか戻ってこない、、

 

 

 

 

他のジム・ジャームッシュ作品同様に余韻が味わい深い

 

ラストシーンからの余韻だけではなく、場面ごとの、会話が途切れた後の余韻を楽しみながら観られる

 

そしてロベルト・ベニーニが加わり、それまでのジャームッシュ組の「無口でニヒル」なイメージからキャラクター的な幅が広がったことで、作品そのものにも奥行きが生まれている

 

一見、正反対なタイプに思えるけれど、多弁なロベルトも、無口なジョンとトムも、斜に構えたシニカルなところは共通していて、相性も良いのだろう

 

その後のジャームッシュ作品を考えても、本作でロベルト・ベニーニ、そして彼と恋に落ちるニコレッタ(ブラスキ)というふたりのイタリア人を起用したことには大きな意味がある 

 

ちなみにプライベートでもこのふたりは1991年に結婚している

 

そして1997年に共演した「ライフ・イズ・ビューティフル」でさらに高い評価を得る

 

 

本作から長いパートナーシップになる(ヴィム・ヴェンダースの撮影を担当してきた)ロビー・ミュラーをチームに加えている

 

好きな監督同士のこうした繋がりは(惹かれる要因がわかり易く理解できるし)本当に嬉しい

 

 

ちなみにタイトルの「ダウン・バイ・ロー」とは、俗語で「(悪い)仲間たち」

 

日本で浸透している言葉ではない(そう思うと、タイトルの意味などわからなくても構わないのかもしれない)けれど、変な邦題を付けられなくて本当に良かった

 

1986年の作品