引用元:filmarks.com
2016年のルーマニア映画
医師ロメオ(アドリアン・ティティエニ)は、妻との関係も崩壊して久しく、娘エリザ(マリア・ドラクシ)のロンドン留学だけが関心事
それを叶えるために家庭教師をつけ(その教師と不倫関係に陥っている)、残すは最終試験のみというある朝、いつもの様に車で学校に送り届けた直後に娘が暴漢に襲われてしまう
渋滞もあっていつもより手前(といっても学校の向かい側)で降ろしたとはいえ、平日朝の往来がある道での出来事に、自分たちが暮らしている国の荒廃ぶりを痛感させられる
不幸中の幸いで未遂だったとはいえ娘の精神的ダメージは大きく、その呆然とした様子を心配した父親は、試験監督官や副市長、警察署長に便宜を求めるべく奔走するも、娘はそんな父親の姿に幻滅する
「こんなに自国の恥部を描いた作品をよく公開できたなあ」
と、真っ先に思った(監督の意向という意味でも、公開を許可されたという意味でも)
国を信じて91年に帰国したものの、改善しない経済や組織の腐敗に絶望し、娘を海外に留学ようと奔走する父親と、その父親が生きていくために併せ呑む「濁」をひたすら嫌悪する妻、自分の将来と目先の辛抱を紐付けられない娘
普通の環境なら快適な人生を手に入れているはずの三人が、挫折、断念しながら精神を蝕まれていく
その流れに抗おうとするラストシーンが清々しい
根本的な解決や救済が描かれていないところは好みの別れるところかもしれない
明日は、上司と意見が合わないとしんどいことを痛感する映画をご紹介