無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1109. 夜

引用元:nhk-ep.com

 

夫婦の倦怠期、あるいはその関係が崩壊に向かう様を描いた映画は数あれど、最もリアルに響いた作品

 

ちなみにリアルと言っても、具体的で詳細なエピソード云々ではなくて、感覚的に同意できるという意味で

 

 

 

 

末期の病で病床に伏しているトマゾ(バルンハルト・ヴィッキ)のお見舞いに来た作家のジョヴァンニ(マルチェロ・マストロヤンニ)と妻のリディア(ジャンヌ・モロー

 

トマゾは自らの余命が長くないことに気づいていて「本当の親友はふたりだけだ」と言い、毎日何時間もかけて見舞に来てくれる母親にも「自分が亡くなったら、ふたりを家に招待して料理を振舞ってくれ」とお願いする

 

トマゾはジョヴァンニにとって親友であったが、同時にリディアにとってもかつて自分を愛してくれた特別な男性だった

 

その愛は既にジョヴァンニに結婚していたため叶わなかったが、結婚生活が冷え切った今、リディアにとってトマゾの存在はかけがえのないものになっていた

 

ある日、リディアが「どこか外に出かけたい」と言うので、ジョヴァンニは「じゃあ招待されている金持ちのパーティーが今晩あるから行こう」と誘う

 

 

ラスト数分のふたりのやりとりに惹きつけられる

 

不思議とどちらの心情に寄りそうこともなく「そうだよな」とその状況に納得してしまう

 

まだやり直せると信じるジョヴァンニと、「もう愛してないと言って」と懇願するリディア

 

決定的に崩壊に向かう(というかほぼ辿り着いている)ようで、実際には可能性も見え隠れしているとも考えられるのが実に面白い

 

親しい人たちにラストシーンを観てもらって感想を聞きたくなる

 

 

への字口が可愛いらしいジャンヌ・モローはもちろん、その後「赤い砂漠」などアントニオーニ作品の常連となるモニカ・ヴィッティも魅力的

 

 

それにしてもマルチェロ・マストロヤンニモニカ・ヴィッティというイタリア人俳優と、フランスからジャンヌ・モロー、そしてドイツからベルンハルト・ヴィッキ(国籍はオーストリア)が自然に共演しているところが欧州らしい

 

 

明日は、ポスターが目を引く古い作品をご紹介

 

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