
引用元:cinematoday.jp
原題は「BLOW-UP」=(写真の)引き伸ばし
ミケランジェロ・アントニオーニ監督初の英語による、そして「赤い砂漠」に続く二作目のカラー作品
舞台も60年代中頃のロンドンということで、いつものアントニオーニ作品で観られる虚しさは、若者たちの喧騒にやや隠れ気味
また音楽もハービー・ハンコックを起用、冒頭からファンキーなジャズが不穏な事件を想起させている
新鋭人気カメラマンのトーマス(デヴィッド・ヘミングス)は、オープンカーで街に繰り出し、常に新しい刺激を求めていた
ある日、他に誰もいない公園で中年紳士と若い女性(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)がキスしているのを見かけ、その様子を木の陰からカメラに収める
それに気づいた女性がトーマスに駆け寄りネガを要求するも、トーマスは「俺は皆が撮ってくれと頼んでくるカメラマンなんだ」と言い、困惑する女性を言い負かしてしまう
ところが、暫くして女性はトーマスのスタジオにやって来て再びネガを要求
トーマスも再び詭弁で煙に巻きながら、美しい彼女の写真を撮ろうと会話を続けるも、さすがに難しいと感じ最後には(スタジオに置いてあった別の)ネガを渡す
彼女が去った後、公園での様子を収めたネガを現像すると、トーマスの狙い通りに雰囲気のある写真が撮れていた
しかし、その中に妙な気配を感じさせるものが数枚あり、それらを引き伸ばしてみると、そこには草陰から銃口を向けているように見える人影と、地面に倒れている人物が写っていた
当時のロンドンの浮足立った様子が、アントニオーニ監督の目を通じて伝わってくる
ストーリーの中心に描かれているトーマスは、かなりエキセントリックを気取っていて嫌な奴ではありながら、如何にもイギリス人な顔立ちなせいか、どこか憎めない
音楽ファンには、ハービー・ハンコックの他にもトーマスが人探しで訪れるライブハウスのステージ上で演奏するヤードバーズが観られるという嬉しいシーンも
しかもジェフ・ベックとジミー・ペイジの二人が在籍していた時で、今ではあり得ないくらいサービス精神に溢れたジェフ・ベックの姿も
明日は、何故そのポジションに就きたいのか大いに疑問、という作品をご紹介