引用元:Yahoo!映画
久しぶりの劇場鑑賞(@TOHOシネマズ日比谷)
何だかんだ言いながらテレワークの影響で外出が極端に減ってしまい、観たい作品も行けず仕舞いになることが多い中「この作品だけは」と何か月も前から決めていた
魅力的な作品は他にもたくさんあるけれど「劇場の大画面とサウンドでないと!」と思わせるのは本作を置いて他に無いだろう
コロナ禍ということで席は「ひとつ飛ばし」ながらもほぼ満席という状態
小さいシアターとはいえ思った以上に人気がある
1969年、有名なウッドストックと同じ年の夏にニューヨークのハーレムにあるマウント・モリス・パークで6週にもわたって行われ30万人以上を動員した「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」
映画としてはもちろんサントラ盤にもならず50年以上封印されていたもの
1969年ということもあって「ブラック」であることへの誇りを喚起する場面も多く、ライブ映像と社会的ドキュメンタリーをバランスさせながら進んでいく
またアポロ11号が月面着陸した7月20日(日曜)もフェスティバルの開催日で、何人かの観客は「そんなお金があるならハーレムの住民を助けて欲しい」とインタビューに応えている
この「どっちつかず」な構成は普通なら消化不良になるところだけれど、本作はその塩梅が絶妙で興覚めするような場面は無かった
意外だったのはタイトルに「ソウル」とありながらも(ブルースやゴスペルはもちろん)コチラの想像を軽く超える幅広い音楽のライブだったこと
また白人の市長を(このフェスに快く賛同してくれたとして)ステージに上げたり、ニューヨリカンと呼ばれるプエルトリコ系やスライ&ザ・ファミリー・ストーンのメンバーにも白人いるように「適度な例外」も受け入れている
そしてゴスペルの持つ異常なパワー(教会で失神する映像などこれまでに見たことがあるというのに)や、既にファンクのうねりを感じさせるブルース、またそれとは若干趣の違うファンキーを感じさせるジャズやハービー・ハンコックの「ウォーターメロン・マン」を演奏するモンゴ・サンタマリアがラテン音楽に自然に転換していく様子など「黒人音楽の見本市」的な楽しさ(唯一違和感を拭えなかったフィフス・ディメンションでさえこの流れの中では受け入れてしまいそう)
特にファンクに関しては本作にも登場するスライ(&ザ・ファミリー・ストーン)の様なサイケデリックな印象が強く、音楽的にもドラムやギターのカッティングで16ビートを刻むという風な「定義」を思い浮かべてしまうけれど、ここで登場するB.B.キングやニーナ・シモンのブルースには明らかにファンクが感じられ、本来のファンクとは非常に感覚的なもので一般的に認識されているよりも早い段階で披露されていたのだと思われる
また曲単位、アーティスト単位では既知の事実でも、こうして塊となって映像になるとこれまでの認識(CDや書籍をかき集めて分かったつもりでいても)が如何に偏っていたのかと気付かされる
B.B.(キング)のギターにまだ荒っぽさが残っていたり(その後如何に洗練されていったのかがうかがえる)、デヴィット・ラフィンがフロントマンとしても超魅力的なことだったり、ニーナ・シモン(発言は危なかったけれど)の圧倒的な存在感だったり、スティービー・ワンダーのドラミングに感動していたら後半のエレピはもっと凄かったり、あの若きメイヴィス・ステオプルがマへリア・ジャクソンとの共演に緊張していたり、そしてスライを始めどんなに人気アーティストであっても皆ヴォーカルの圧倒的な巧さが前提条件としてあることを再認識したりという発見の連続!
もう一度ゆっくり鑑賞したい
最後に小説家であり詩人のラングストン・ヒューズが晩年にニーナに託した詩を歌にした、白人が公民権運動に反発することに対しての「Backlash Blues」の歌詞をご紹介
Mr. Backlash, Mr. Backlash
Just who do think I am
You raise my taxes, freeze my wages
And send my son to Vietnam
You give me second class houses
And second class schools
Do you think that all colored folks
Are just second class fools
Mr. Backlash
I'm gonna leave you with the backlash blues
When I try to find a job
To earn a little cash
All you got to offer
Is your mean old white backlash
But the world is big
Big and bright and round
And it's full of folks like me
Who are black, yellow, beige and brown
Mr. Backlash
I'm gonna leave you with the backlash blues