無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1029. 真実の瞬間(とき)

引用元:amazon.co.jp

 

この映画を初めて観たときにはまったく知らなかったハリウッドに対する赤狩り

 

 

 

1930-40代初頭、ドイツやイタリアでファシズムが台頭し、アメリカでも共産党が支持を得るようになる

 

第二次大戦中は連合国としての同盟があったソ連だったが、終戦後のアメリカにとっては対立するソ連への警戒から、共産主義を脅威とみなした赤狩りが始まる

 

1947年には矛先がハリウッドに向けられ、当局からの召喚や発言を拒否した10名の監督や脚本家たち(ハリウッド・テン)が、侮辱罪で有罪判決を受け、業界から追放されてしまう

 

ハンフリー・ボガートや、ヘンリー・フォンダグレゴリー・ペックビリー・ワイルダーなどが反対運動を起こした一方で、ウォルト・ディズニーエリア・カザンたちは、当局の要請に従い、同僚の共産主義者の実名を挙げ、赤狩りを支持した

 

 

カザンはそのお陰で以降もキャリアを継続できたけれど、本作の7年後にあたる1998年にアカデミー名誉賞を与えられた際には、一部からブーイングを浴びた

 

 

 

今回かなり久しぶりに観直してみると、こうした歴史も頭に入っていたせいかストーリーに集中することができた

 

 

過去に数回、集会に参加したことがあった(反対意見を述べて退場させられた)だけなのに、共産主義者のレッテルを張られてしまった映画監督デヴィッド(ロバート・デ・ニーロ

 

売れっ子の監督だけに、同じ集会に参加した同僚の名前を委員会で発表するだけでキャリアも家族も守ることができることから、映画会社の社長からも弁護士を紹介され、「上手く切り抜けること」を勧められる

 

しかし、彼が名前を挙げてしまえばその同僚たちが業界から追放、そして起訴されることから、その忠告に従うことができないでいた

 

 

同僚の映画監督役をマーティン・スコセッシが演じている

 

 

尚、先述のカザンの授賞式のプレゼンターは、何とデ・ニーロとスコセッシだったという

 

カザンの行動を擁護するわけではないけれど(折角、名誉賞を授与というのに)それはご無体な、、と思ってしまったけれど、むしろ本作の内容から本人が重々反省しているという意味を込めての禊の場だったのだろう

 

 

それにしても、前回の「アンジェラの灰」で父親が見せた自尊心とは比較にならない

 

 

明日は、スイス映画をご紹介

 

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