引用元:Yahoo.co.jp
前回「これから注目」とコメントした成嶋瞳子
「どこかで観たかも、、、」
と考えて本作を思い出し、この機会に再び鑑賞
常にどこか不機嫌そうな夫と姑の三人暮らしをしている主婦の瞳子(成嶋瞳子)
数少ない楽しみのひとつが雅子様で、友人たちと皇居参観した時のビデオをいつも見直している
ある日、瞳子が働いている弁当屋に出入りしている肉屋の藤田(光石研)と顔見知りになり、鶏肉をもらったことから思わぬ関係が始まる
三年前に妻を通り魔に殺害されたアツシ(篠原篤)は、すっかり生きる気力を失くし、今でも立ち直れないでいる
損害賠償請求ができると弁護士に言われ、お金の無い中で何とか費用を捻出していたが、弁護士の身勝手な理由で(何か月も経過してから)断られてしまう
その弁護士四ノ宮(池田良)は、階段を降りている時に誰かに背中を押され、足を骨折してしまう
退院後もギプスで固定された足で日常生活にも苦労している時に、同居している同性のパートナーからフラれてしまい、更にずっと好きだった学生時代からの友人聡(山中聡)からもあらぬ疑いをかけられ敬遠されてしまう
瞳子には「彼女がその名を知らない鳥たち」にも通じる不潔さが感じられ、アツシは(妻を亡くしたショックは計り知れないとはいえ)いつまでも拗ねている子供にあらゆるもの(人)に文句をつけていて、観ていてイライラしてしまう
三人の中では思いやりに欠ける四ノ宮が一番酷い奴ではあるけれど、瞳子とアツシの方が身近に居られると大変な気がする
前回の鑑賞で一番記憶に残っていたのは、場末のスナックのママ晴美(安藤玉恵)の全身写真がラベルになった「美女水」(ペットボトル一本が一万円 もちろん詐欺)
今回の鑑賞で最も印象に残ったのは、瞳子がその詐欺に騙されたことに気付くシーン
駆け落ち相手である藤田の家にスーツケースを抱えて訪れると、そこには注射器でクスリをやろうとする藤田の姿、そして外から晴美が戻って来る(同居していることをうかがわせる)
決定的にすぐさま逃げるべき場面で、瞳子がとつとつと語り出す話
私が派遣で働いていた頃の上司が言うには、働き方には二種類あって
ひとつは鶏が卵を産む様に「能力で会社に貢献する」こと
もうひとつはブタが自分の肉を提供する様に「自分そのものを会社に捧げる」こと
その時は理解できなかったけれど、その上司が今の旦那だと言う
何の必然性も無いような台詞ながら、作品の核の様にも感じられた
そして ↓ の予告映像にも登場する、保険証の発行を渋る区役所の職員(山中崇)
こういう杓子定規な対応をする役も、される側の役も上手にこなす名脇役
最後に「恋人たち」というタイトルについて
ひとりは男に騙されそうになる主婦、もうひとりは妻を殺されてから生き甲斐を無くした男、そしてパートナーにフラれ憧れていた友人からも敬遠されるゲイの弁護士
この三人を描いた映画のタイトルにはそぐわないと最初は感じたけれど、二回観てからむしろこのタイトルしかない様に思えた
明日は、ヒルビリーについて認識を改めた映画を紹介します