引用元:amazon.co.jp
2006年のドイツ映画
2006年のドイツといえば何といってもサッカーW杯
日本はグループリーグで 1勝もできず敗退し、トーナメントの決勝戦(イタリア対フランス:延長PKの末、5-3でイタリアの勝利)は、まさかのレッド・カードで終わった何とも「後味の悪い」大会だった
さて、本作の舞台はベルリン崩壊の1989年から5年遡った1984年の東ベルリン
シュタージ(国家保安省)の局員、ヴィースラー大尉(ウルリッヒ・ミューエ)は、反体制の疑いのある劇作家ドライマン(セバスチャン・コッホ)と彼と同棲している女優のクリスタ(マルティナ・ゲデック)の監視を命じられる
盗聴や下部組織員からの密告などによる逮捕が、日常的に行われていた当時の東ドイツ
ドライマンのアパートにも盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーはそこから聞こえてくるピアノソナタに心を奪われ、誓った国家への忠誠が揺らぎ始める
という「美しい一面」もありつつ、散々悪口を叩かれているのを盗聴し心が荒んでいく様子や、乾ききった自分の私生活を悔やむ「リアルな一面」もあって、異常な行動をしている中での人間的なリアリティが伝わってくる
本作を観た後に、ベルリンに行く機会があり、「東ドイツ博物館」でシュタージの盗聴器や、取調室を再現したものを見ることができた
ベルリンの壁崩壊から30年以上経った今となってはこうした客観的な事実として情報を得ることができるけれど、当時東ドイツに住んでいた国民にとっては、隣近所の人たちはもちろん、会社の同僚や家族、親せきからも密告される可能性、自宅に盗聴器が仕込まれている可能性、またそれがどういうことに繋がっていくのか(どこに連れていかれ、とういう取り調べが行われるのか)わからないことも不安で恐怖だったに違いない
原題は「Das Leben der Anderen」 (他人の生活)
明日は、久しぶりに是枝裕和監督作品を紹介します