無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

823. キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

 

2023年8月9日、ザ・バンドのギタリストだったロビー・ロバートソンが亡くなった

 

1976年に行われた「ラスト・ワルツ」で脱退し、1987年にソロ・アルバムをリリースしているから、キャリアの大半はソロ、或いはサントラ盤の製作に費やされている

 

その辺りの経緯は、ドキュメンタリー映画ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」でうかがうことが出来る

 

それでも、多くの人にとっては「元ザ・バンドの」という表現がシックリ来るのだろうし、人を例える時に往々にしてそういうものだろう

 

ザ・バンドの中でも、ヴォーカルも出来るギタリストという、普通なら最もスポットライトを浴びる役割を担いながらも、ヴォーカルもギター演奏も控え目で、トータル的なプロデュースに回りたがる人だった

 

それでも、或いはそれだからこそ、曲ありきの抑制の効いたソロには名演が多く、数少ないマイ・ギターヒーローだった

 

そんな彼が最後に音楽を手掛けた映画が公開された

 

 

 

 

舞台は20世紀初頭のオクラホマ州

 

先住民のオーセージ族は、石油を掘り当てたことによって突然裕福になる

 

ところが、その莫大な富を横取りしようと、白人たちは言葉巧みに近づき搾取していく

 

そんな中、伯父ウィリアム(ロバート・デ・ニーロ)の暮らすオクラホマにやってきたアーネスト(レオナルド・ディカプリオ)は、オーセージ族の女性モーリー(リリー・グラッドストーン)に魅かれる

 

 

実話をベースにした「花殺し月の殺人 -- インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」(デイヴィッド・グラン著)が原作

 

206分という長時間、しかも重苦しいテーマの最後を、裁判所を舞台にしたコミカルな劇中劇で締めるという、強引な中にも老練なテクニックを駆使する、如何にもスコセッシ流な構成に唸ってしまう

 

 

 

冒頭から、洗練された完成度を感じさせながらも、同時に個々の楽器の生な音が直接響いてくる、ロビー・ロバートソンならではのサウンドに、大いに揺さぶられる

 

エンドロールの中に、

 

       in memory of Robbie Robertron

 

という表示を見つけ、彼の最後の仕事を劇場の音質で聴けて良かったと思った

 

 

明日は、第1回丸の内映画祭で観た映画をご紹介

 

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