引用元:Yahoo!映画
公開中の「ザ・バンド」を角川シネマ有楽町で観てきた(製作は2019年、カナダ・アメリカ合作)
座席予約の際、すべて空席だったので一番観やすい中央席にて
ザ・バンドのファンでないと観ないだろうドキュメンタリーだから、館内は自分を含め地味なおじさんが数人という状態
68年に「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」でデビューする前の、ロニー・ホーキンスのバックバンドだった頃から、ボブ・ディランとウッドストックの「ビッグピンク」と呼ばれる家で作曲、録音、セッションに明け暮れた時期、そしてアルバムが賞賛されるもドラッグの問題などからメンバーの人間関係に亀裂が入ってしまう様子などを貴重な映像と共に振り返る
メンバーや関係者、またブルース・スプリングスティーンやエリック・クラプトン、ヴァン・モリソンなど錚々たるミュージシャンたちのコメントも交えながら進んでいく
78年に彼らの解散コンサート「ラスト・ワルツ」を監督したマーティン・スコセッシが製作総指揮、ダニエル・ロアーが監督となっていて、スタッフのクレジットにロビー・ロバートソンの名前は見当たらないけれど、存命するふたりのメンバーのうち、ガース・ハドソンはウッドストックに隠遁したままだから、唯一の語り部たりうるロビー・ロバートソンの所有する映像、そして記憶を中心に本作が作られたのだなあ、という印象
生き残っている者だけが、仲たがいした理由を語っているのを観ていると(知らなかった話や映像に興味を惹かれつつも)どこまで真に受けていいものか?という気はする
殆どの曲を作り、ずっとアルバム作りの中心にいたロビー・ロバートソンのことを高く評価しながらも、アルバム制作以外でも過度なプロデュース精神を発揮するところなどについては複雑な思いがある
他のメンバーと演奏しながらアレンジを加えて曲が完成するのに、クレジットはロビー・ロバートソン(それに伴う印税収入も)、そしてリック・ダンコ、リヴォン・ヘルム、リチャード・マニュアルのヴォーカルと、ガース・ハドソンの音楽的な貢献がバンドの大きな魅力でありながら、功績が与えられる時にはいつもロビー・ロバートソンだけがいる印象
ザ・バンドのファンの多くは、彼の作る曲やギターに魅了され、彼の存在抜きにしてこのバンドは成立しないことも理解し、そして本作の様なドキュメンタリーを公開してくれたことに感謝しながらも、他の4人のメンバーに対していたたまれない感情を抱えていることだろう
ちなみに現在「ザ・ハント」という映画も公開中
さすがに間違えて観てしまう人はいないだろうけれど、どちらかのタイミングをズラせなかったのだろうか?