引用元:amazon.co.jp
青木ヶ原の樹海
よく耳にするけれど、恥ずかしながら何処にあるのかも知らなかった
樹海と名付けられたのは、山頂から眺めると風になびく樹木が波のように映るからという
松本清張の「波の塔」の影響で、自殺の名所として知られているけれど、ハイキングコースやキャンプ場もあるという
富士山の北西山麓で噴火が発生し、流れ出た溶岩に覆われた地表が1200年という時を経て原始林が形成されていったという
溶岩の上にできた苔から育った土壌は、層として薄いため、↑ のポスターのように木の根が地面から見えている
2005年の作品
青木ヶ原の樹海を舞台にした5つのエピソードのオムニバス
印象的だったエピソードをひとつ紹介すると、
今年の春に課長に昇進した山田(津田寛治)は、妻子と暮らす郊外のマイホームから毎日の通勤地獄に耐えながら働いていた
ある日、興信所の三枝と名乗る男(塩見三省)から呼び出され、仕事帰りに居酒屋に寄る
三枝は一枚の写真(自分とふたりで写っている若い女性)を取り出し
「この女性に見覚えは無いか」
と尋ねるも、まったく記憶にない山田は
「ここに写っているのは確かに自分ですが、この女性には覚えがありません 恐らくどこかの飲み屋で盛り上がって写真を撮ったというだけのことでしょう」
と、この女性との不倫でも疑われているような気分になり、ムッとして応えると、三枝は「この写真は、女性が最近青木ヶ原の樹海で自殺した時に持っていたもの」だという
どのエピソードも二人から三人によって演じられているせいか、演者の力量が各エピソードの出来栄えに直結する感がある
そういう意味でもこのエピソードは秀逸で、表面上のストーリーを越えて人物の生い立ちや考えていることなどが浮かび上がってくる「膨らみ」の大きさが、他のエピソードよりも抜きんでている
他にも、駅の売店で働く女性のエピソードも印象的ではあったけれど、全体では出来不出来の差を感じてしまった
若干コミカルな側面もある人間ドラマのテーマが、自殺というのには多少のひっかかりは感じるけれど、特に不謹慎さはない