引用元:amazon.co.jp
ハイブランドの服は(近年特に)なかなか買えないし、ハイブランドなら何でも欲しいワケでもない
そんな中、少し無理をしても欲しいと思わせる、数少ないブランドのひとつがマルジェラ
本作は、2017年のオランダ映画(日本公開は2019年)で初のドキュメンタリーとなる
メディアのインタビューも受けないし、ランウェイの最後に登場もせず、その製品にもブランドロゴではなく、カレンダータグと呼ばれる縫い付けがあるだけ
1997年以降は写真さえ存在しない、という謎の人物
ブランドを離れて久しく、今どこで何をしているのかもわからないマルタン・マルジェラとはどんな人なのか
本作では、当時の製作チームの面々がインタビューに応え、仕事場として使っていた建物を訪れ、映像や写真などと共に振り返っていく
メンバーの中でも、特に印象的だったのが、共同経営者だったジェニー(メイレンス)
ブリュッセルでセレクトショップのオーナーを務めていたところ、1983年に審査員として、当時アントワープ王立芸術学校の学生だったマルジェラの作品を見て惚れ込み、5年後に彼と共同でメゾン・マルタン・マルジェラを立ち上げる
以来、デザインした後のことに一切関心が無いマルジェラをサポートし続けてきた彼女の話すことは、ドキュメンタリーの枠を超えて「ファッションとビジネス」或いは「創作を集団で行うこと」など、ある意味矛盾・相反する普遍的な問題について語っているようでもある
マルジェラチームの解散は、奇しくも彼が業界を去った後に、「服をデザインするデザイナー」がブランドの製品作りを担う時代から、「話題になるコラボレーション先を見つけることが得意な、クリエイティブ・ディレクターという名のイベントプランナー」によって運営されているように映る、今の業界の変化の中で(存在意義に忠実であるためには)自然なことだったのかもしれない
コロナが始まる頃までは、そのウチに分かり易く「揺り戻し」が来るだろう(再び職人的なデザイナーがブランドを牽引する)と思っていたけれど、もう少し大きく長い変化なんだろうな、とぼんやり感じながら本作を観終えた
明日は、青木ヶ原の樹海が舞台の映画をご紹介