無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

675. あの子を探して

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引用元:amazon.co.jp

 

1999年の中国映画

 

チャン・イーモウの監督作品

 

 

 

舞台は河北省赤城県という、北京から北北西に約150kmにある農村

 

過疎化が進むこの村では、小学校の校舎も古いままで、生徒は生活苦から学校をやめてしまうことも多く、街から遠いこともあって教師のなり手も見つからない

 

現職のカオ先生が、母親の看病のために一か月村を離れることになり後任を探すも、最終的にやってきたのは中学卒業もしていない13歳少女ウェイ

 

 

あまりに経験不足の後任者に、カオ先生は難色を示すも他に選択肢もなく、不在になる期間の授業として板書だけなら何とかなるだろうと後を託す

 

ウェイは報酬として50元、そして生徒をひとりも脱落させなかったらボーナスで10元という約束を取り付けて、カオ先生を見送る(ちなみに本作の英題は「Not One Less」)

 

 

 

元々、たいしたやる気もなく連れてこられたウェイは、授業が始まるや否や自らが板書した文章を生徒たちに書きとらせ、その間自分は教室の外で座って待つというスタイルを続けるも、生徒たちの中にはじっとしていられない者や喧嘩を始めてしまう者までいた

 

その中でも一番手が付けられないホエクーという少年の家庭は父親が亡くなり、母親が病気で寝たきりという

 

このままでは借金も返せないからと、ある日ホエクーはウェイたちに黙って街に出稼ぎに出てしまう

 

 

ウェイという少女は、代理の先生を任せられるくらいだから、比較的真面目な少女で、実際にも生徒の面倒をかなり熱心にみるけれど勝気な面もあり、譲らないところでは梃子でも動かない

 

そうした芯の強さが彼女の表情にも見て取れる気がした

 

ほとんどの役を素人が演じているということで、彼女も(他の主演作品も見当たらず)この作品のみの出演と思われるけれど、それももったいない気もする

 

本作から20数年後の今、北京から(たったの)150kmというこの村は、どんな様子なのだろうか?

 

 

明日は、現代版「藪の中」をご紹介