引用元:amazon.co.jp
新任教師が900日かけて行った、豚を飼育する授業をもとに書いた書籍「豚のPちゃんと32人の小学生 命の授業900日」を原案にした作品(2008年の公開)
新年度が始まった小学校
新任で6年2組の担当になった星(妻夫木聡)は、教室にブタを持ち込み子供たちにある提案をする
「みんなでこのブタを育てて、最後にみんなで食べよう」
生徒たちは驚き、そしてフンの始末を嫌がりながらも、「Pちゃん」という名前を付けて校庭に小屋を作り、エサになる残飯を集め世話を始める
やがてPちゃんは生徒たちにとって家畜からペットへ、そしてそれ以上の存在になっていく
卒業を前にして最初の予定通り食べるのか?
或いは自分たちが卒業しても下級生にPちゃんの世話を頼むのか?
6年2組全員で何日も議論を重ねていく
観始める前から予想できる展開(そりゃそうだ)
新任教師も途中で反対意見が出ることは承知の上で「人間は生きている動物を殺して、それを食べている」ということを教えるべく始めた授業
しかし、議論はそんな想定をはるかに越えて白熱していく
新任の教師も我慢強く生徒たちの議論を見守り、また校長先生も新任教師の指導を見守る
ひとつの正解に辿り着く議論ではないし、小学6年生には状況を俯瞰することも、複合的に考えることも難しいし、何しろ理屈を越える自身の感情がある
お互いの考えをぶつけ合い、最善の結論に必死で辿り着こうとする
本作で下された結論に不満を感じる人もいるだろうけれど、個人的にはこれもひとつの落とし処として理解できる
一般的な食肉文化の是非とも少し違う限定された状況でもあり、生徒たちの卒業と言う時間的制約も加わる
ベジタリアンやヴィーガンの方たちとの議論(肉食と共存であれば議論する必要はないけれど、是非論に発展しがち)に通じるところもあるけれど、「私は○○だけど、皆さんには強要しません」という意見は今回使えない状況
議論する子供たちを観ていて感じたのは、12歳で「大いに納得できない」という経験をすることも大事だろうし、それに対して「とことん議論する」経験はもっと大事だと
数年後にもっと広い視野で、理性と感性に富んだ建設的な意見を 言えるオトナになるため(そんなオトナになりたい!)の授業を描いた作品