無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

631. 高速道路家族

 

韓国映画ということで、久しぶりにシネマート新宿にて鑑賞

 

 

貧しい家族を描いた作品、ということで「パラサイトに次ぐ」という風な宣伝文句があったり、↑ のポスターから、「サバイバルファミリー」を連想したりもしたけれど、どちらにも寄らない個性的な内容だった

 

ギウ(チョン・イル)は、妻ジスク(キム・スルギ)、そして幼いふたりの子供を連れて、高速道路のサービスエリアで「生活」していた

 

夜は、空いたスペースにテントを張り、昼間は「財布を無くしてしまったから、ガソリン代として2万ウォン貸して欲しい(後で口座に返金するから)」と、周囲の利用客に声を掛け、詐欺行為を繰り返していた

 

高速道路のサービスエリアという、出入りの激しい「人が留まらない場所」ならではの詐欺行為

 

2万ウォン(約2千円)という金額も、人によっては諦めるつもりで貸してくれそうなライン

 

即座に断るわけでもなく、少し躊躇しようものなら、幼い子供たちが「パパ、お腹空いたよう」と登場する巧妙さ

 

 

ところが、ある日、以前お金を巻き上げた中古家具屋の経営者ヨンソン(ラ・ミラン)に、同じ行為をしている現場を見つかり、警察に通報されてしまう

 

 

 

すると、ギウにはサービスエリアでの余罪だけでなく、多数の被害者を生んだ大型詐欺の罪で指名手配されていることも判明し、そのまま収監される

 

雨の降る中、残された妻子三人が、警察署の入り口でうなだれている姿を目にしたヨンソンは、思うところがあり、「ウチに来ない?」と声を掛ける

 

 

 

クズな父親についていくしかない、先の見えない生活をそれなりに楽しんでいた前半から、雲行きが怪しくなっていく中盤、そしてヨンソンに面倒を見て貰いながら希望を取り戻していく後半を経て、衝撃のクライマックス(最後に過剰な盛り上がりがあるところは「パラサイト」的)に続く

 

 

ダメな父親に感情移入できれば、より深みのあるストーリーになるタイプの作品だと思った

 

精神的な疾患を抱えていることがわかるシーンや、最後に妻に対してとった行動などが、感情移入を叶えそうにはなるのだけれど、(チョン・イルという俳優にくたびれた様子が薄くて)個人的には少し難しかった

 

更に言えば、父親ではなく、母親を中心に考えると、不幸な幼少期から救い出してくれた「犯罪者の夫」について行くしかなかった自分が、子供たちの将来の為に一大決心をする人間(家族愛)ドラマになる作品ながら、少し存在感が薄い気がした

 

 

 

明日は、山口県の萩を舞台にした映画をご紹介

 

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