無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

174. パラサイト 半地下の家族

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引用元:cinematoday.jp

 

前々回の「万引き家族」に続いてパルムドール受賞作!

 

 

もう10年くらい前になるけれど出張で年に数回ソウルに行くことがあった

 

大抵は一泊で済むから自由時間も夕食の時くらいで(それもチーム・ディナーになったりすることもあり)街並みをゆっくり見ることも叶わず、せめてもの楽しみはタクシーでの移動中に街並みを眺めることだった

 

自分でも可笑しいくらいに必死で外を眺めていたけれど、ある時小高い丘の様な場所から明らかに時代から取り残された様な密集した住宅地が見え、その瞬間「えっ」と頭の中が空っぽになったのを覚えている

 

距離があり過ぎて、半地下住宅なのかどうかもわからなかったけれど(もちろんその場でタクシーを降りられるわけもなく)複雑な思いのまま仕事の目的地に向かった

 

 

 

本作のお陰で世界に知られたソウルの半地下住宅は、一帯の再開発が決まっていたにもかかわらず(映画のヒットを受けて)保存する方針をソウル市が表明した

 

その一方で「貧困を見世物にしている」と住民を中心に反対の声があがっているという

 

 

まったく、万引き家族に祝辞を出さない首相もいれば、半地下住宅で観光客を呼ぼうとする市長もいる

 

双方に呆れるというよりも正反対な対応が面白い

 

 

この半地下住宅は、北との抗争が激しくなった70年代に防空壕を準備するために建築法が改正され義務付けられたもの

 

当初は倉庫に利用されていたのが、ソウルの人口の増大により低所得者(主に地方からの流入者や学生)の住宅となっていったという

 

 

 

 

2019年の韓国映画

 

キム家は、夫婦に一男一女の4人で、古い半地下住宅に住んでいる

 

4人とも仕事に就けず、宅配ピザ屋の紙箱を組み立てる内職によるわずかなお金で何とか暮らしている

 

息子のギウは、名門大学に通う友人から(自分が留学する間に代行として)英語の家庭教師をしないかと提案され、器用な妹ギジョンに有名大学の卒業証書を偽造してもらい、何とか高い報酬のバイトにあり付く

 

そのバイト先になるパク家は、高級住宅街にある立派な邸宅(立派なだけでなくデザインも素晴らしくストーリーを追いながらもついつい住宅に意識が向いてしまう)

 

パク家の娘に英語の授業をした帰り際、壁に子供が描いた絵が飾ってあるのを目にしたギウは、絵の家庭教師を探していることを婦人から聞き出すと、巧みに勿体つけながら妹を(大学の後輩と偽り)絵の家庭教師として紹介する

 

さらには前任者に罪を擦り付けたり、病人に仕立て上げたりして運転手に父のギテク、家政婦として母のチュンスクを送り込み、一家総動員でパク家に寄生(パラサイト)することに成功する

 

ここまでの流れのスムーズさと結果としての「根こそぎ」感には笑うしかない

 

ある日、パク一家がキャンプに出掛けることになり、キム家は絶好の機会到来と豪邸で酒盛りを始める

 

 

 

話の流れ的に「オチ」の付け方が難しく、後半に意識が拡散してしまうこと考慮しても十分に面白く、惹きつけられたままエンディングを迎える

 

その辺りの落としどころや作品の全体感などは2010年の「ハウスメイド」にも共通する部分が多い

 

また本作が気に入った方には(ポン・ジュノ監督が影響を受けたという)1962年作の日本映画「しとやかな獣」(60年代の日本映画にこんなぶっ飛んだ作品があったなんて!)と併せてお勧め作品

 

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