無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

622. ソウル・フラワー・トレイン

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引用元:amazon.co.jp

 

漫画家、ロビン西の短編コミックを実写化した2013年の作品

 

 

大分の役所に勤める妻と、二人で暮らしている天本(平田満)にとっての一番の関心事は、大阪の大学に通う娘のユキ(咲世子

 

まったく帰省もしない娘は、メールやSNSに疎い天本にとっては、心配で仕方がない

 

無事に定年退職したのを機に、天本は娘の様子を見に、大阪に向かうことにする

 

 

ところが、早速行きのフェリーで、スリの男に目をつけられ、旅費の入った財布をすられてしまう

 

幸い(?)にも、犯行の様子を見ていた、これまた手癖の悪い女性あかね(真凛)が、その財布を取り返してくれ一安心する

 

大阪港に着いた天本が、行き先に迷っている様子を見て、あかねは財布を返してやり、市内まで連れて行く

 

そして、突然の訪問を公衆電話で告げられた娘が夜まで迎えに行けないと知るや

 

「ウチが案内したる」

 

と半ば強引に、天本を一日天王寺観光に連れ回す

 


 

三年間会っていなかった娘

 

「元気で頑張っていれば、それでいい」

 

とは思いながらも、ついつい色んなことが気になってしまうし、娘が何か隠している様子にも過剰に反応してしまう

 

こういう作品を観ると、親の言う「元気で頑張っていれば、それでいい」という台詞に嘘ではなくても、大抵の場合はそれじゃ済まないもの、だろうなと思わせる

 

想像を越える、娘の暮らしぶりを目にした時に、親はどう振る舞うのか

 

親子の関係性、子の性格、それに加えて親の考え方が大きく影響するのだろう

 

 

どこまで「別個の人格」として、尊重しながら接する(仕送りしている云々は別として)ことができるのか?

 

とはいえ、寛大なら良いというものでもないから難しい

 

親が心配するほど「子供でもない」し、子が主張するほど「オトナでもない」

 

 

二日間の大阪滞在を娘と一緒に過ごし、娘の友達と一緒に食事をし、他にも様々な人と会って、天本はパンクするくらいの吸収をする

 

「もっと早く来ていたら」とも思いつつ、実行しなかったのは自分であり、早く着ていれば何か違たのか?と考えると、現状を受け入れて前に進むしかない

 

 

途中までは、天本の余りの頼りなさに、若干のまどろっこしさを感じながら鑑賞(今時、定年直後の男性が、ここまで大阪で狼狽えるものだろうか?)

 

その辺りのベタな演出に慣れてきた頃に、ストーリーも格段に面白くなってきて、ガラッと印象が変わる作品

 

主題歌は大阪らしく、少年ナイフ 

 

 

 

明日は、「この場所では事故りたくないなあ」と痛感する作品を紹介します