その昔、一人暮らしの部屋にラグを敷きたくなり、せっせとバイトして分不相応にもペルシャ絨毯を買ってしまった
今でも大事に使っているから良い買い物だったと思うけれど、その時に学んだことは「ペルシャってイランなんだ」ということ
かつて諸外国から「ペルシャ」と呼ばれていたのを、1935年に「イラン」に改める様に要請し、1979年のイラン・イスラム革命で国名をイランを定めたという
イランの(数における)主要民族・言語は現在もペルシャ人・ペルシャ語ではあるけれど、イラン人・イラン語とは示す範囲が異なり、代替可能ではない
渋谷Bunkamura ル・シネマにて鑑賞
第二次大戦中、ナチスドイツの強制収容所に向かうトラックの荷台で、隣にいた男からペルシャ語で書かれた本と、サンドイッチを交換しないかと提案されたユダヤ人青年のジル(ナウエル・ペレース・ビスカヤート)
ペルシャ語など読めないし、有難くもない提案だったが、その男の執拗さに負けてサンドイッチを渡す
それから収容所に着くとすぐに荷台から降ろされ、一列に並んだところをまとめて銃殺されてしまう
幸いジルには弾が当たらなかったので、タイミングを合わせて倒れ込むも、その演技まで見抜かれていて、改めてジルに銃口が向けられた瞬間、「自分はユダヤ人ではなく、ペルシャ人だ!」と叫ぶ
すると、疑われはしたものの、つい先刻入手したペルシャ語の本を見せると、意外にも難を逃れることに成功、ジルはコッホ大尉の元に連行される
実は「将来、テヘランでレストランを開業したい(その為に言語も少しは習得したい)」と考えているコッホ大尉から「ペルシャ人を見つけたら殺さず連れてくるように」という指示が出ていたのだった
間一髪で命拾いしたものの、ペルシャ語を教えることなど出来ないジルは、即興で出鱈目な単語を大尉に教える
次の日も、また次の日も、新しいでたらめなペルシャ語を教えるジルだったが、当然のように会話の中で新しい単語を聞かれたり、前に教えた単語の確認があったりする中で、ジルは命がけの予習と復習で難を逃れていく
心理的にジワジワ追い詰められる展開に、同じくバディム・パールマン監督の「砂と霧の家」を思い出した
いづれも、観ていてドッと疲れるほどに集中してしまう作品
明日は、笑福亭鶴瓶が暴れる映画を紹介します