引用元:eiga.com
1975年のフランス・西ドイツ合作
原題は「Le vieux fusil = 古い銃」
邦題の「追想」は実は三つも存在する、以前書いた「追想」(2017年のイギリス映画)、そしてグッと遡った1956年公開のユル・ブリンナーとイングリッド・バーグマンが主演を務めた作品
「同名作品の存在を知らなかったのであれば不勉強だろうし、知っていたなら無神経なのでは?」と思ってしまうけれど、そんなことはさておき、映画祭は終わってしまったけれど引き続きロミー・シュナイダー出演作を
舞台は、フランス南部のモンタルバン
ドイツ軍が徐々に撤退を始めていた1944年のこと
地元の病院に勤務する外科医のジュリアン(フィリップ・ノワレ)は、病院に無断で入ってきて(彼らにとっての)政治犯だと思われる患者を拉致していくドイツ軍を苦々しく思っていた
そんなある日、ジュリアンが「患者に手を出すな」とドイツ軍を制した際に
「大事な妻も子供もいるんだから気をつけてモノを言え」と警告されてしまう
危険を感じたジュリアンは、同僚で友人のフランソワが所有する田舎の別荘に、妻のクララ(ロミー・シュナイダー)と娘を疎開させる
数日後、電話が通じないことに焦ったジュリアンは、大きな手術を終えた直後に車を走らせて別荘に向かった
そして彼が目にしたものは、村人全員の死体と、その近くの城の前に倒れている銃殺された娘と、火炎放射器で焼き殺された妻(と思われる)の姿だった
余りにも悲惨な光景に愕然とするジュリアンだったが、すぐにショットガンを片手に復讐を始める
復讐劇の間に、クララとの幸せな時を過ごした回想シーンが何度も挿入される
これが非常に効果的で、たったひとりでドイツ軍に立ち向かうジュリアンが戦う姿は、まるで「ランボー」*みたい(本作の7年後に公開された映画だから「みたい」という表現も失礼な話で、むしろ影響を与えたのではなかろうか?)だけど、挿入シーンのお陰で戦闘シーンに深みを与えている
こうした時系列だけではなく、病院でのタフな手術を終えて心配しながら疎開先まで車を走らせる間の美しい田園風景など、緊張と緩和のバランスも素晴らしかった
くれぐれも邦題が残念
* 「ランボー」への影響はあくまで想像の範囲ながら、タランティーノ監督は自身の「イングロリアス・バスターズ」(2009年)は、本作からの影響と認めている
ナチスに占領されたフランスでの復讐劇、という設定を拝借してはいるけれど、まったく新しいアプローチで作られた快作!(日本以外では)大ヒットした