引用元:filmarks.com
2011年のアメリカ映画
好きで観ているのにこういう言い方も変だけれど、映画を鑑賞する上で(特にアメリカ映画では)覚悟しなければいけないのは、感情的にエスカレートしたやりとりに散々付き合わされること
日常生活なら(ある程度)自分の努力で避けられるものの、映画の場合はどうしようもないし、それが感動シーンへの布石だったりもするから雨に打たれるように耐える他ない(「普通の人々」の様に)
離婚した元夫ポール(トーマス・ヘイデン・チャーチ)の元で暮らす長男のディランの結婚式に出席するため、次男エリオット(エズラ・ミラー)と三男のベン(ダニエル・イェルスキー)を後部座席に乗せ、アナポリスまで運転するリン(エレン・バーキン)
リンは、終始話しかけてくる息子ふたりにイライラしながら、これから起こるであろう不愉快なやりとりに不安を感じていた
まずは、リンが引き取った長女のアリス(ケイト・ボスワース)は、離婚の際にポールが自分に向けた暴力がトラウマになって自傷行為を繰り返しているほど元夫が苦手なこと
そしてリン自身は、ポールの再婚相手のパティ(デミ・ムーア)とはまったくそりが合わないこと
また助けになってほしい母のドリス(エレン・バースティン)は、認知症の父ジョー(ジョージ・ケネディ)の介護に手一杯で、情緒不安定な自分をむしろ疎ましく思っていること
こんな不安を抱えながら、これから数日を無事に過ごせるのか?
みんな意地悪で、余計な一言や行動が抑えられず、人の欠点や過去の失敗をいつまでも掘り返して嘲笑する、下品で軽率で感情的で暴力的
動物園の方がよっぽど理性と調和があるかも
不幸なのは、こういう人たちは感情の抑えが効かないことが多いから一度悪い方に転がり始めると(ほんの些細なきっかけでも)全員で増幅させながら地獄に向かって突き進むしかないということ
割と観応えのある作品(個人的にはエレン・バースティンの意地悪な老女役が見られたのも良かったし)だったけれど、すっかり消耗してしまった
こういう耐性も映画を鑑賞する上では(例えば興味のある作品すべて観たいとなると)体力と同じように必要になるのも事実だから、良いトレーニングになったのかもしれない