引用元:filmarks.com
新型コロナウイルスのお陰で外出もままならなかった頃(といっても現在も大して変わりはないけれど)、自分でもよく飽きないなあ、と呆れるくらいに映画を観た
三月の中旬から六月末くらいまで、結構な本数を観た中で一番印象に残ったのが本作
原題 「Ordinary People」 、タイトルも見事だけど、登場人物の描き方も素晴らしい
シカゴ郊外に住む一家の断絶を、初監督のロバート・レッドフォードが見事に描いた作品(1980年のアカデミー監督賞を受賞している)
半年前に長男が事故で水死してからというもの、優しく気の弱い父親、どこか乱暴で冷たい母親、ナイーブすぎる次男、、、(四人家族の時にはうまくいっていたのに)三人の関係が徐々に崩れていく
次男の抱えている問題は、両親がサポートすべき問題でもあるのでさておくとしても、父親は仕事熱心な弁護士だし、母親もテキパキと家事をこなす主婦であって、ふたりとも社会的責任を全うしている立派なオトナ、、、それなりにクセはあるけれど、いわゆるクラスや職場にひとりふたりは似た人を見つけられそうな程度の「普通の人々」だ
しかし、一旦歯車が狂いだすと、後は加速するように悪化していく
父親の優しさは、相手も状況も後先も考えないバラ撒き型の優しさで、結果として家族のためにならず、母親の淡泊さは、程度を越えて愛情の薄さに直結する冷淡さとして、父親を呆れさせ息子を絶望させる
最初はどこにでもありそうな夫婦間、親子間のイザコザも、この三人の相乗(逆)効果たるや、、、こういった人たちが引き起こす摩擦やストレスをどう処理するのか(しないのか)がコミュニケーションの肝要なところで、人生においても大きな意味を持つのだろう
言い替えれば、世の中の家族の大半が、三人の様な悲劇を引き起こすまでには至らない理由は、どこかのタイミングで家族の誰かがブレーキを踏んでくれているのだろう
それにしても、初監督作品のテーマにこういうのを選ぶなんてどうかしている(笑)