無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

26. キューポラのある街

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キューポラとは鉄の溶解炉のことで、工場の屋根の上にある煙突

 

これが並んで煙を上げている埼玉県川口市の風景からこの映画は始まる

 

この街に住む一家の父、辰五郎(東野英治郎)は、ある日(本当につまらない意地を張って)工場をクビになってしまう

 

もちろん家計は貧窮し、中三の長女ジュン(吉永小百合)は、修学旅行にも行けそうもなかったが、それならばとジュンはパチンコ屋でバイトを始め、何とか修学旅行に行けることになる

 

生活の目途もたち、春からは全日制の高校に進学をと期待していたところに、父親が折角斡旋してもらった再就職先を初日で辞め、ジュンも不良少年に乱暴されかけるという災難が続く

 

そして、近所に住む在日家族が北朝鮮に帰還したり、父親が元の職場に復帰することが決まったりする中で、ジュンは働きながら定時制高校に通うことを決断する、、、まったくもってジュンの逞しさと辰五郎のクズさに驚かされる

 

 

映画はその時々の社会情勢や庶民の暮らしぶりを教えてくれるけど、この作品はそういう点でも意義深い

 

 

 

 

北朝鮮の肝いりで始まった帰還事業は、1959年12月から1984年7月まで続き、総勢9万人以上が日本から北朝鮮に渡った

 

当初、北朝鮮は「地上の楽園」と呼ばれ、本作中の台詞にもある通り、「(現在の日本での貧しい生活よりは)楽な暮らしができるだろう」と思われていた

 

実際には、現地ではあらゆる物資が不足していて、日本に帰ることも許されず、大変な思いをすることになる

 

本作は帰還事業が始まって二年後に撮影開始し、翌 1962年に公開された

 

 

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