引用元:video.unext.jp
1974年のATG(日本アート・シアター・ギルド)作品
何と言っても原作・脚本・監督の寺山修司色が前面(全面)に出ている
脚色された彼の自伝と言える内容で、有無を言わさぬ力で圧倒されてしまった
主人公は青森の恐山の麓に母と二人で暮らしている中学生の私(高野浩幸)
口うるさい母親に叱られると、すぐに恐山に行ってイタコに死んだ父親の口寄せを頼んで、母親の愚痴を言っていた
また隣の家に他所から嫁いできた女性(八千草薫)がお気に入りで、近くから覗くのが数少ない楽しみだった
そんな私は、ある日母親とまた口論になり、その時に村にやってきたサーカスの団員たちから村の外の話を聞かされ、家出を決心する
嫁いだ隣家に馴染めない女と一緒に村を離れようと、駅で待ち合わせる約束をする
ここまでの話は、現在の映画監督である私(菅官太郎)の手による自伝映画
その試写会では、多くの人から作品を称賛される
その後、中学生の私の前に現在の私が現れる展開に
恐山やイタコ、母親への鬱積した感情、故郷からの脱出など、アイデンティティに繋がる要素に加え、短歌や合唱、成人女性への憧れ、東京での暮らしなど、自身が現在に至るまでに大いに影響された要素まで詰め込んだ、渾身の作品
自己のさらけ出し方や、手作り感に溢れたセットや演出など、個人的な好みとは真逆と言っても良いくらいなのだけれど、そうした相違を軽く超えて訴えてくるものがある
明日は、大好きなカウリスマキ監督作品をご紹介