引用元:eiga.com
2020年の作品
島本理生の同名小説が原作
塔子(夏帆)はエリート商社マンで裕福な家庭に育った真(間宮祥太朗)と結婚し、かわいい娘も生まれ、幸せそうな生活を送っていた
ところが夫に頼まれて同席したあるパーティーで、10年振りにかつての恋人鞍田(妻夫木聡)に出会う
塔子は学生だった頃に、鞍田が経営するデザイン事務所でバイトしていた
ふたりが別れてから10年の間に、塔子は真と結婚して育児をしながら専業主婦に、一方の鞍田は身体を壊し、会社を清算し、そして離婚していた
今は知り合いの事務所に雇われてデザインをしているという鞍田は、塔子に「その会社で働いてみないか」と会社のパンフレットを郵送してくる
そして塔子は「娘も小学校に上がって手が離れたし、、」と真を、そして彼を通じて義母を説得し、鞍田の勤める会社の面接を受けに行く
「好き嫌いが分かれる映画だなあ」と思いながら鑑賞
ドライに言ってしまえば、専業主婦が昔の相手と(今度は逆の立場で)不倫する話
幸せな生活を(真面目な夫と可愛い娘に懇願されても)放り出してしまう塔子
新しい職場の社員さん(柄本佑)に「どうして結婚したの?」とズバリ聞かれてしまうシーンには、思わず「ホントそれ」と突っ込んでしまった
雪が降る夜道を、鞍田と塔子が車で走るシーンで、ラジオからジェフ・バックリーの「ハレルヤ」が流れ、後のシーンでは、ふたりがつき合っていた頃の思い出のアルバム(曲)であることが示される
長い間、ジェフ・バックリーは(甘美に過ぎて)苦手なシンガーだった
本作の中で、カーラジオから(結構長い時間)流れる「ハレルヤ」を聴いているうちに、鞍田と塔子の甘美な世界とリンクしたせいか、ストンと聴けるようになってしまった
アルバム全体も徐々に好きな曲も増えてきて、この勢いで「ハレルヤ」のオリジナル、(更に苦手な)レナード・コーエンも少しは聴けるようになるかと試しているところ
頭の中で、この映画は「ハレルヤ」と完全に紐ついてしまった
白い半袖のポロシャツの一番上のボタンまで留めている、そして飲んで帰宅して妻の作ったハンバーグは食べられないと言うクセに、母親が作った煮物があると箸をつける、(冴えないけれど)罪のないエリート商社マンの夫を捨て、バツイチで大病を患っている(しかも身勝手な)かつての恋人の元に走る塔子の描き方にも、またどこかぎこちなくて観ている側が照れ臭くなってしまう甘美なシーンも好みの分かれそうなところ
この辺りを「中途半端なベッドシーン」と切り捨てる人もいるだろうし、10年間自分らしくない生き方を(結果として)してきた塔子が、自らを開放する感動的な場面として観る人もいるだろう
どんな環境で観ても後者だと言い切れる自信はないけれど、「ハレルヤ」のお陰もあって、一緒に過ごした期間と後の10年の重みの違いに2人が気付く瞬間に共感してしまう
明日は、バージニア州が舞台の映画を紹介します