引用元:amazon.co.jp
2009年のアメリカ映画
モーガン・フリーマン、マット・デイモン主演で、クリント・イーストウッドが監督した評判の良い作品ながら、10年以上も観なかった理由は
「ラグビーのシーンがショボかったら嫌だな」という単純な懸念
実際には心配したほど競技シーンも多くはなく、またそのレベルも高くて杞憂に終わった
南アフリカについて初めて意識したのは1985年
ロック・ジャズ・ラップ・アフリカ音楽などのミュージシャンが集結して録音、リリースした「サン・シティ」という曲を聴いて、初めて授業で習ったアパルトヘイトと実際の問題意識が繋がった
サン・シティというのは南アの白人専用リゾート施設
アパルトヘイトに反対する姿勢を示すために「こんな場所でライブなんかやらないぞ」という内容の歌詞
♪ I ain't gonna play Sun City
SNSもクラウドファンディングも存在しない時代に、こうした活動が大きなうねりを作ったことは意義深い
諸外国から経済制裁を受けるようになり、1990年に27年間投獄されていたネルソン・マンデラが釈放され、選挙に勝利した1994年にアパルトヘイトは廃止される
映画の舞台は、そんな激動の年1994年の南アフリカ
これまでずっと主要ポストを担ってきた白人の官僚たちは、新しく大統領になったネルソン・マンデラによって報復人事を受けるものと決め込み、荷物をまとめていた
ところがマンデラは初登庁の日に
「新しい南アフリカを作るためにあなたたちの力が必要だ」と呼びかける
この年、第三回ラグビー・ワールドカップが自国で開催される予定ながらも、この国ではラグビーは富裕層のスポーツとされ、代表チームはひとりを除いて全員白人で構成されていた
試合では、白人は代表チームを、黒人は相手チームを応援するという異常な状況に、マンデラ大統領は、チームの主将フランソワ(マット・デイモン)を茶会に招く
この大会で見事優勝を果たす南アチームは、その後も第六回フランス大会、そして第九回日本大会でも優勝する
日本大会では準々決勝で日本と対戦し、26-3で圧勝する
予選リーグでは、アイルランドやスコットランドにも勝って首位通過した日本だっただけに期待も大きかったけれど、南アには歯が立たなかった
この日本大会の5か月前、シカゴのブルース・バーでひとりで飲んでいると、アイルランド人の若者(20代後半くらい)に話しかけられた
アメリカの会社で営業マンとして働いている彼は、大のラグビーファンで、日本大会を観に行く予定だと言う
会話はそれなりに盛り上がるも、ビールを飲み過ぎたのか、或いは(当時アイルランドは世界ランク1位だったこともあって)気が大きくなり過ぎたのか、日本チームのことを揶揄う発言が続いたので、適当に切り上げてホテルに戻った
彼から貰った名刺は、少し迷ってから(もうコンタクトすることもないだろう、と)帰国してから処分した
こちらは名詞を持ち合わせていなかったから、彼から「必ず大会中にメールをくれ」と言われていたけれど
そして日本大会が始まり、予選リーグでアイルランドと対戦した日本は、19-12で大金星を上げる
「あの名詞、持っておけば良かったな」
と一瞬思った
明日は、再びフレンチフィルムフェスティバルからの作品をご紹介