無人島シネマ

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848. 鬼畜

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引用元:shochiku.co.jp

 

1978年の作品(原作は松本清張の短編)

 

埼玉県川越市で印刷屋を営んでいる宗吉(緒形拳

 

妻のお梅(岩下志麻)と印刷屋を営み、印刷工の阿久津(蟹江敬三)と三人で必死で働いていた

 

ところが宗吉には7年もの間、妻には内緒で囲っている妾の菊代(小川真由美)と、彼女に産ませた三人の子供がいた

 

印刷代の回収が遅れたり焦げ付いたりと、宗吉はいろんな理由をつけてその金を菊代の元に送っていた

 

しかし印刷屋が火事で設備の大半を失ってしまい、経営も成り立たず、ついには菊代が三人の子供たちを連れて印刷屋に乗り込んで来る

 

妾と隠し子と横領の事実を知ったお梅は激怒するも(当然だ)、切羽詰まった菊代は「もう終電もなくなった」と居座ってしまい、ついには三人の子供を置いて出て行ってしまう

 

 

気の弱い宗吉は、菊代の顔色をうかがいながら子供たちの面倒を見ようとするが、菊代は「本当にあんたの子供だかわかったもんじゃない」と、子供たちの面倒を見ようとしないばかりか、毎日虐待を続ける

 

 

 

「鬼畜」とは緒形拳を指しているのだろうけれど、岩下志麻も、小川真由美も負けず劣らず(もっと言えば蟹江敬三も)

 

緒形拳に限って言えば、その鬼畜ぶりは本作よりも、「復讐するは我にあり」の方が断然悪質

 

本作では単なる「甲斐性無し」の男が、ちょっとした不運や周囲の影響で一線を越えてしまう風に(あくまでも自然に)描かれているけれど、温厚そうな宗吉にその異常性が内在されていたのか、あるいは必要に迫られれば何でもやってしまう人間だったのか

 

いづれにせよ「復讐するは我にあり」の殺人犯よりもずっと人間味のある男の犯罪に、むしろ恐ろしさを感じる

 

 

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