引用元:Yahoo!映画
2020年の作品
原作は宮下奈都の同名小説
大学の研究室で働いている行助(仲野太賀)は、片足に麻痺があるも松葉づえ無しで歩いて通勤している
その途中、パチンコ屋の駐車場の脇にあるブレハブ建てのたい焼きが好きで、毎日ひとつ買って食べるのを密かな楽しみにしている
その店をひとりで切り盛りしているこよみ(衛藤美彩)と次第に言葉を交わすようになる
ところがある日、こよみが交通事故に遭ってしまう
二週間後にやっと意識を取り戻したこよみは、昔の記憶はあるものの、新しい記憶は一日しか持てない障害だと診断される
心配した行助は「(ひとり暮らしの)自分のアパートに越して来ないか」と提案し、一緒に暮らし始める
数日後、たい焼きの店も再開し、一見以前と同じように見えるこよみ
そしてこの日々がずっと続くことを祈るような気持ちで過ごす行助
久しぶりの中川龍太郎監督作品
今回もかなり説明不足で、何故こよみがたい焼き屋を始めたのか、母親(河瀬直美)以外の身寄りは無いのか(その母親も一度見舞いに来た後は一切行助任せ)、行助にしても会話の中で幼い頃母親を亡くし姉が存在することがわかるくらい
ストーリーの中から観客に想像させる割合が高いので、好みの別れる監督だと思うけれど、独特の雰囲気がある
特に本作ではカメラワーク(ふたりが店の横のベンチに腰掛けてたい焼きを頬張るシーンでエンドロールが流れるのが最高)と音楽(いい意味でピアノの音が耳について離れない)が作品にとてもマッチしていて、これまでの作品よりも高い完成度を感じさせる
記憶が失われることの残酷さを、本作では二種類のエピソードで表現していると感じた
ひとつは、行助が嫌いなブロッコリーを、頻繁にシチューに入れて夕食に出すこと
これはショッキングではあるけれど、介護する側も覚悟のうちとして対応するしかないけれど、もうひとつの方はさらに切なくなってしまった
明日は、ジャックダニエルが大好きな主人公が登場する作品を紹介します