引用元:amazon.co.jp
1999年のベルギー・フランス映画
ダルデンヌ兄弟の作品という説明が不要なくらい、やるせない映画
重度のアル中で生活もままならない母親と、ふたりでトレーラーハウスに住むロゼッタ(エミリー・ドゥケンヌ)
彼女は「まっとうな生活」を手に入れるため、必死で働いているというのに、工場を突然クビになってしまう
酒に溺れるだけならまだしも、男を連れ込んで施しを受けている母親に対して、ロゼッタは怒りをぶつける
その怒りの矛先を切り替えるかのような勢いで職を探し、何件も断られながらも、どうにかワッフル屋の仕事を得る
持病の腹痛をこらえながら、母親の介抱をし、職を探し、その都度傷つきながらも必死で前を向くロゼッタ
それでもトレーラーハウスの生活は厳しく、仕事の継続も難しく、そして母親の愚行で足元を掬われてしまう
トレーラーハウスのあるキャンプ場は、湿地帯にあり、ぬかるんだ地面を長靴に履き替えて家に戻る
その途中、長靴を隠してある場所で履き替えるシーンが、何度か印象的に描かれる
室内も寒く不衛生で、支払いが滞ると、水さえ止められる状況
登場人物がフランス語を話しているから、本作の舞台はベルギー南部(一般的にはオランダ語を話す北部よりも生活は貧しいとされている)なのだろう
また、ユーロ導入前とあって、通貨はベルギーフランが使われている
ワッフルがひとつ40フラン(約140円)
そしてお国柄か、ビールがよく登場する
ワッフルの屋台では(冷蔵庫ではなく)棚に缶ビールがジュースと一緒に置かれていて、客が次々と常温の缶ビールやジュースを買っていく
ワッフルと常温のビール、って組み合わせとしてアリなのだろうか?
ロゼッタは、生活保護や友人からの親切な提案を受けようとせず、頑なに自力(職を得ることによって)この状況から抜け出そうとする
描かれる生活があまりに悲惨で、普通なら挫けたり誰かの親切に甘えたりするだろうに、若者の正義感で突き進もうとするロゼッタに心救われると同時に、この先に彼女への救いがあることを期待してしまう
ところが、そこはダルデンヌ兄弟らしいエンディング
「ったく、もう」
と少し呆れながらも、妙な満足感に包まれてしまう
ワッフルの会社の社長を兄弟作品常連のオリヴィエ・グルメが演じている
ところで、ダルデンヌ兄弟といえば、こんな書籍を見つけてしまった
「社会をまなざす」というキャッチフレーズがぴったり
早速、購入して読まなければ
明日は、最後の数分が何とも言えずロマンティックな作品を紹介します