無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

405. 少年と自転車

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引用元:amazon.co.jp

 

このblogではすっかり常連のダルデンヌ兄弟の監督作品

 

2011年のベルギー・フランス・イタリア合作

 

 

父親から捨てられ、施設で暮らす11歳の少年シリル(トマ・ドレ)は、反抗的な態度で職員を困らせてばかり

 

父親は自分のことを見捨てたわけではないと信じ込み、父親の行方を捜している

 

シリルは親切そうな美容師のサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)と出会い、週末だけの里親になってほしいとお願いし、受け入れてもらう

 

サマンサの協力のお陰で父親の行方がわかり、再会できたシリルだったが、自分の生活だけで精一杯の父親は「二度と来るな」と息子を追い返してしまう

 

そんなシリルに近所の不良少年ウェスが目を付け、自分の手下に取り込もうとする

 

もちろんサマンサはそれを激しく注意するも、ウェスに誘われて夜に外出しようとするシリルは、制止する彼女に怪我を負わせてまで家を飛び出してしまう

 

そしてウェスに指示された通りに強盗を犯し、その金をウェスに渡そうとするも犯行時に顔を見られたことを告げると、お金を突き返され「これはお前がひとりでやったことだ 俺の名前は絶対に喋るな」と言われてしまう

 

困ったシリルは再び父親の元に向かうが、、

 

 

 

本作は「帰って来ない親を施設で待ち続ける子ども」について、日本で聞いた話を元に作られたもの

 

ダルデンヌ兄弟作品「息子のまなざし」でも施設で暮らす子供と里親の作品が描かれているけれど、両作品とも同じように欧州の話として観られる

 

 

11歳で言うことを聞かない乱暴な少年ともなると、大人より俊敏で体力もそこそこついてきて、暴力を振るうことに躊躇がない分、ある意味最強の存在ではある

 

昔の日本であれば、シリルを無理やり押さえつけたのだろうけれど、彼は「当たり前にあるべきものが手に入らなくて暴れているだけ」で「その環境を叶えること、そして彼が自分で考えて困難に対処できるよう教育することを怠ってきたシリルの親に何ら処罰がない不条理」にやるせない思いがする

 

最後にはダルデンヌ兄弟らしい複雑?微妙?混沌とした結末が用意されていて、いつもながらの独特な余韻に浸らせてくれる