無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

408. Dear フランキー

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引用元:amazon.co.jp

 

2004年のイギリス映画

 

スコットランドに住む一児の母、リジーエミリー・モーティマー)は、母ネル(アリー・リガンズ)と息子のフランキー(ジャック・マケルホーン)と引っ越しを繰り返していた

 

その理由は、酔っ払って暴力を繰り返す夫のデイビーから逃れるため

 

フランキーはその影響で聴覚に問題を抱えているも、手話に加えて読唇術も身に着け、学校の授業でも優秀な成績を収めていた

 

特に好きな科目が地理で、フランキーの部屋には大きな世界地図が貼られていた

 

それはリジーが、父を想う息子についたささやかな「船乗りの父は世界中を航海しているから、なかなか会うことはできない」という嘘で、月に二回届く父親からの手紙(書いているのはリジー)から今航海している場所を知り、世界地図にピンを立てて眺めているお陰だった

 

 

 

ところがある日、父親が乗っている船(正確には同じ名前の船)が町に寄港するというニュースが入り、リジーは慌ててしまう

 

 

 

 

 

登場人物の機微が巧く描かれていて、観終わった時に心地よい満足感に浸れる作品

 

エミリー・モーティマーは(夫からのDVによって)「やたらと警戒心が高くて、親しい人たちにも壁を作ってしまう、ノリが悪くて面倒な女性」になってしまった母親を見事に演じている

 

というよりも、元々そういう気質を持ち合わせている?と思わせるほど

 

ちなみに彼女は「カオス・セオリー」や「マッチポイント」ではもっと愛らしい女性を演じている

 

またそんな娘に手を焼きながらも見守っているヘヴィースモーカーの母親や、他の脇を固める役を演じている俳優も、目立たないながらも味のある演技で楽しませてくれる

 

とある計画の途中、リジーが「ひと息入れなきゃやってられない」とばかりにウィスキーをストレートでネルと飲むシーンがスコットランドらしくて印象的だった

 

スコットランドらしい、といえば美しい街並みや風景(特に丘の上からの景色は、同じ場所に行ってみたいと思わせる)の映像もたっぷり楽しめる

 

 

人は「どういう時に不安を感じるのか?」そして

 

「どういう風にそれを解消しようとするのか?」

 

フランキーは少年として、リジーはオトナの女性として、そうした瞬間の心の揺れ動きを表現しているのを堪能できる作品