引用元:amazon.co.jp
2004年のイギリス映画
スコットランドに住む一児の母、リジー(エミリー・モーティマー)は、母ネル(アリー・リガンズ)と息子のフランキー(ジャック・マケルホーン)と引っ越しを繰り返していた
その理由は、酔っ払って暴力を繰り返す夫のデイビーから逃れるため
フランキーはその影響で聴覚に問題を抱えているも、手話に加えて読唇術も身に着け、学校の授業でも優秀な成績を収めていた
特に好きな科目が地理で、フランキーの部屋には大きな世界地図が貼られていた
それはリジーが、父を想う息子についたささやかな「船乗りの父は世界中を航海しているから、なかなか会うことはできない」という嘘で、月に二回届く父親からの手紙(書いているのはリジー)から今航海している場所を知り、世界地図にピンを立てて眺めているお陰だった
ところがある日、父親が乗っている船(正確には同じ名前の船)が町に寄港するというニュースが入り、リジーは慌ててしまう
登場人物の機微が巧く描かれていて、観終わった時に心地よい満足感に浸れる作品
エミリー・モーティマーは(夫からのDVによって)「やたらと警戒心が高くて、親しい人たちにも壁を作ってしまう、ノリが悪くて面倒な女性」になってしまった母親を見事に演じている
というよりも、元々そういう気質を持ち合わせている?と思わせるほど
ちなみに彼女は「カオス・セオリー」や「マッチポイント」ではもっと愛らしい女性を演じている
またそんな娘に手を焼きながらも見守っているヘヴィースモーカーの母親や、他の脇を固める役を演じている俳優も、目立たないながらも味のある演技で楽しませてくれる
とある計画の途中、リジーが「ひと息入れなきゃやってられない」とばかりにウィスキーをストレートでネルと飲むシーンがスコットランドらしくて印象的だった
スコットランドらしい、といえば美しい街並みや風景(特に丘の上からの景色は、同じ場所に行ってみたいと思わせる)の映像もたっぷり楽しめる
人は「どういう時に不安を感じるのか?」そして
「どういう風にそれを解消しようとするのか?」
フランキーは少年として、リジーはオトナの女性として、そうした瞬間の心の揺れ動きを表現しているのを堪能できる作品