無人島シネマ

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784. 報復の街をあとに~ペドロ12歳の旅立ち~

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引用元:amazon.co.jp

 

2017年のベネズエラ・チリ・ノルウェー作品

 

 

「世界で最も治安の悪い街」と言われているのは、シリアのダマスカスやコロンビアのボゴタ、ブラジルのリオデジャネイロ、そしてルーマニアブカレストなど何か所か存在するけれど、ベネズエラの首都カラカスもそのひとつ

 

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カラカスの人口当たりの殺人事件発生率は東京の100倍以上で、↑ のようなスラム(ランチョと呼ばれる)に100万人近くが生活している

 

実はベネズエラ原油埋蔵量は世界第一位ながら、その富が国民には届かない

 

貧困層の救済を訴える大統領が誕生しても街のスラム化は一向に改善しない

 

いくら石油価格の下落が影響しようが、他の産油国の生活レベルを考えると異常としか言えない

 

 

 

 

12歳の少年ペドロは、カラカスの労働者階級の団地に父親とふたりで暮らしている

 

父親のアンドレスは貧しさから昼夜仕事を掛け持ちしているため家を留守にすることが多く、ペドロは悪い仲間と外をうろついたりゲームをしたり遊んでばかりいる

 

そんなある日、同じくらい幼い少年から「携帯を出せ」と銃で脅され、気の強いペドロはその少年と揉み合いになり、弾みで持っていたナイフで刺してしまう

 

その現場に(半ば偶然)駆けつけたアンドレスは、刺されたのはすぐ近くのスラム街に住んでいる少年と知り(ギャングの報復を恐れて)ペドロにすぐ荷物をまとめるよう指示する

 

 

普段面倒を見てくれない父親への対抗なのか、或いは12歳だからと子ども扱いされることへの反発なのか、とにかく父親の言うことを聞かないペドロ

 

ところが逃亡しながらも食い繋ぐために何とか職を得ようと雇用主に懇願したり、必死で交渉する父親の姿を見て、ペドロも次第に状況の厳しさを理解していく

 

 

劣悪な環境に暮らす12歳の少年に非があるとは言えないし、生活能力に多少欠けるとはいえアンドレスが父親失格とも思わないけれど、どうにもならない状況に何とも言えない気持ちになる

 

 

明日は、終戦後間もないブルックリンが舞台の映画を紹介します