無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

782. カルロス・ゴーン 最後のフライト

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引用元:filmarks.com

 

2021年のイギリスのドキュメンタリー作品

 

 

仕事柄、職場にフランス人が多く、事件発生当時は、彼らとこの人についてよく話をした

 

新聞やニュースからの情報で、感想を言い合う程度の雑談ながらも、彼らにとってルノーがどういう会社で、ゴーン氏がどういう存在で、そして普段は日本の生活を満喫している彼らからも、日本の警察や司法制度や企業幹部への猜疑心のようなものがうかがえた

 

日本人の自分にとってショックな感想もあれば、納得できる(日本が正さなければいけないと思われる)ものもあり、日本という国やその仕組みを冷静に理解する貴重な機会だった

 

そんなこんなで振り返りも兼ねて、本作を鑑賞

 

 

 

日産側でもなく、カルロス・ゴーン側でもない、中立なスタンスでまとめられたドキュメンタリー作品ながら、日本側のコメントはごく僅かな反面、ゴーン氏(そして夫人)へのインタビューは長く、比重としては偏った印象

 

多くの日本人にとっては(日産や日本の警察の主張は概ね想像できるだけに)、一連の出来事への理解を深めるには、丁度良いバランスかもしれない

 

それだけに、語られていることだけを受け止めればゴーン氏の主張に筋は通っている風だし「ルノーと日産のアライアンスが上手く行かなくなったスケープゴートにされた」という主張も(政府が出資している企業だけに解明されない部分も多いけれど)彼の本音だろう

 

実際のところ、フランス政府の(日本の感覚では明らかにルール違反的な)後出しジャンケンは、「イチ企業の問題」を「当局がサポートする」事件にしてしまった面もある

 

一方で、ゴーン氏が語らない(というか彼の勝手な解釈の反対側に存在する)事実については、スポットが当たらないまま話は進んでいく(本作は裁判ではないのでコレはコレで良いと思うけれど、彼の中の明らかな論理的な破綻)

 

 

そして2019年12月、大阪から逃亡

 

「デリケートな楽器のチューニングが狂うから、X線検査はしないで」というリクエストをした上で、その楽器ケースに隠れて飛行機に、、、何とも大胆な手段が選ばれたのは、普段からセキュリティが甘いと思われていた証拠だろう

 

数か月遅れていたら、コロナ禍で実行できなかったかもしれない、と思うと何とも悪運の強い人ではある

 

 

明日は、久しぶりにメキシコ映画を紹介します