無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

753. キエフ裁判



ミニシアター行脚、京都編その2

 

こちらの京都シネマは、烏丸駅からすぐという便利なロケーションもあってか、多くの客で賑わっていた

 

選んだ作品は「キエフ裁判」(↑ のポスターは、同じくウクライナ出身のセルゲイ・ロズニツァ監督による「破壊の自然史」と同時に戦争主義と題されたもの)

 

 

キエフ裁判とは、第二次大戦後に、キエフ(今はキーウ)で行われた、ナチス関係者への国際軍事裁判

 

 

 

本作は、15名の裁判の模様を収めたドキュメンタリー映画

 

当時、ソ連の領土で起こった、ユダヤ人虐殺事件の首謀者たちが、次々に裁判にかけられる

 

残虐な行為に対して追及されるも、具体的な物証について語られることはなく、各自は他の者に責任をなすりつけたり、自己弁護に終始したり、平和について語るなどして議論をすり替えようとする者まで、それぞれが口頭で悪足搔きする様子が映し出される

 

 

約80年前の裁判とはいえ、あまりに原始的、映像作品としては(大きな展開もなく、個別の尋問・陳述が繰り返される)変化の無さに(歴史的な価値は高く、多くの人が目にするべきであると思いながらも)、最後まで集中力を維持するのは難しいドキュメンタリー映画

 

そして、最後に衝撃の処刑シーンがやって来る

 

最後まで集中力を維持するのが難しい、と書いたけれど、恐らく拒否権など無かった(そして、異常な環境でなければ健全な市民だったであろう)被告人たちが、淡々と答弁していく裁判が「表面的に見えてしまう」空恐ろしさに気づき、ゾッとさせられた

 

 

 

短い夏休みの最後に(劇場で観た)映画だったから、何とも後味が悪かったけれど、これくら強烈な映画の方が、休みが終わる憂鬱も紛れて良かったのかもしれない

 

 

 

明日は、アメリカ南部の音楽映画をご紹介

 

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