無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

737. 少年

引用元:asahi.com

 

台湾巨匠傑作選2023 の中でも、一番観たかった、ホウ・シャオシェン監督の本作

 

 

時は1960年代の台湾・淡水

 

アジャという名の男の子が、青年へと成長する過程を、隣の家に住む同世代の女の子の視点で描いた青春映画

 

 

シングルマザーのアジャの母親・シウインは、息子の将来の為に見合い結婚をする

 

相手は公務員のターシュン

 

誠実で仕事熱心な男ではあったが、若いシウインの夫にしては年配だった

 

それでもターシュンは、母子に十分な生活を送らせるだけでなく、アジャを心底可愛がった

 

すぐにふたりの間に、アジャの弟となる息子が生まれ、アジャも中学生になる

 

ところが、その頃から悪い仲間とつるむようになり、学校で問題を起こすようになってしまう

 

その度に、ターシュンは学校に呼び出され、退学になりそうなところを懇願し、軽い処分にしてもらっていた

 

そんなある日、アジャは好意を寄せていた女の子と海岸に出掛けるが、そこについて来た弟から目を離している間に、弟が溺れてしまう

 

 

 

この日も、K's cinemaは満員

 

それもうなづける大満足な内容だった

 

「映画って素晴らしいな」とか「つくづく自分はこういう映画が好きなんだな」と、思わせてくれる、オールタイムのベスト10に入れたくなる名作

 

台湾の青春映画って、甘酸っぱさとほろ苦さのバランスが絶妙だけど、本作は結構ほろ苦寄り

 

主人公の少年だけでなく、命がけで育ててきた母親の物語(アヒルを追いかけまわしていた可愛い小学生のアジャが、中学、そして高校と次第に手が付けられなくなる過程には、胸が締め付けられる)でもあり、ずっと優しく最大限のサポートを続けてきた(時代や年齢を考えると、如何に寛大であったことか)育ての父にスポットライトを当てることも出来る深みのあるストーリー

 

こういう作品を観ると、(誰しも若い時は未熟で、頭で判ってはいても体裁を優先しがちではあるけれど)、最低限の配慮と、それを実行する意思が如何に大切かを痛感させられる

 

 

 

 

明日は、名優ふたりが主演のアメリカ映画をご紹介

 

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