引用元:amazon.co.jp
2012年のアメリカ映画
近年は撮影機器の進歩もあって、恐ろしく美しい映像の作品が多い
特に大自然の風景などは、ドローンの活用もあって、時にストーリーそっちのけで注目してしまうことも
その中でもとびきりな印象なのが本作
冒頭のモン・サン・ミッシェルの場面から、美しい映像が最後まで続く
室内でも人物の顔が映らないローアングルなど、かなり意識的なカメラワーク
アメリカで作家になることを目指しているニール(ベン・アフレック)は、フランスのモン・サン・ミッシェルでシングルマザーのマリーナ(オルガ・キュリレンコ)と出会う
二人は激しく惹かれ合い、幼い娘タチアナもニールに懐き、結婚はしないものの三人で幸せに暮らし始める
二年後、ニールは作家になる夢を捨て、マリーナとタチアナを連れてアメリカに帰る決心をする
オクラホマの小さな町で環境保護の調査官の仕事を得て、家族三人の落ち着いた生活が続いていくと思っていた矢先、アメリカに来てから友達の出来ないタチアナが荒れ始める
フランスに帰りたいと言い出し、ニールに対しても「本物のお父さんじゃないくせに」と絡み始める
手が付けられない状況に心が離れていくニール、そしてマリーナは教会の神父に相談するもビザの期限も迫りやむなく娘とふたりニールの元を去る
フランスに帰国したタチアナは離婚した元夫のところで生活を始め、ひとりぼっちになったマリーナが今度は壊れ始める
マリーナは、「愛の断片 」のスサーナ(アンヘリカ・ブランドン)、「愛を綴る女」のガブリエル(マリオン・コティヤール)に負けるとも劣らない異常な恋愛体質
客観的に言えば、誰しも仕事や育児、趣味や周囲との付き合いなどの中でバランスをとりながら恋愛している
時には仕事や育児(家事)を優先することで恋愛が犠牲になる場合もあるだろうけれど、生きていくためには仕方のないこと
ところがこの三人のレベルになると、「母」であることも「妻」であることも放棄して恋愛につき進んでいく(相手のことさえも見えなくなっている様子からは「恋人」であることも放棄している?)
愛に生きるのに必死過ぎて「生活」ができず、大好きな相手を窒息させていく
ニールも何とか頑張ってはみるものの、男性側のキャパシティの問題ではないだけにハッピー・エンドは望むべくもない
タイトルはモン・サン・ミッシェルが"wonder of the western world"と呼ばれることから
10年位前にパリから日帰りで行ったことがあるけれど、日の出や日没前後の幻想的な風景を楽しむには現地での宿泊が必要
ニールとマリーナが戯れていた干潟(伝統的な養殖法で有名なムール貝が美味しいんだよなあ、とよそ事を考えてしまっていた)では、その後のふたりを暗示するかのように足元がぬかるんでいて、ふたりはその感覚を楽しんでいる風でもあった
しかしモン・サン・ミッシェルの様な場所で素敵な異性に出会ってしまうと(その時の高揚感も維持できなくて)いろいろと大変そうだ
明日は、日本の異常な一面を描いた作品を紹介します