引用元:filmarks.com
久しぶりにケン・ローチ監督作品を
一番の感想は
「見逃さずに済んで良かった」
時々、目に入るタイトルだったのに、「ありがとう、トニ・エルドマン」はもう観たしなあ、と何の関係もない作品と混同して(どうして混同したのか自分でもわからない)今まで手付かずだった
案外、タイトル中の句読点は印象強いのかもしれない(←無理があるなあ)
ちなみに、両作品とも素晴らしい内容ではあるけれど、句読点付きのタイトルがこれ以上増えると、一層混同してしまうのでご勘弁 笑
ニューカッスルで、40年間大工として働き、税金も納めてきたダニエル(デイヴ・ジョーンズ)
心臓発作で倒れて以来、職を失い、医師からは働くことを禁じられている
役所に行き、失業手当の申請のために係の人と面談をするも、「就業可」とみなされ、給付されないことになってしまう
ある日、ダニエルが役所で順番待ちをしていると、受付時間に少し遅れてしまった女性が4週間分の(!)給付を無効にされてしまう
自分の申請に対する役所の対応にもいい加減頭に来ていたダニエルは、声を上げて女性をサポートするも、彼らの対応は一層頑なになる
このことをきっかけにダニエルとこの女性、シングルマザーで二人の子供を育てているケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)は仲良くなり、そして助け合うようになる
ロンドンから越して来たばかりのケイティの借家をダニエルが修繕したり、子供の面倒をみたり、ケイティはわずかな食事をダニエルに振る舞ったり
しかしふたりとも差し当たっての生活費がなく、ケイティの娘が学校で靴の綻びをからかわれたり、再び役所で心無い対応をされることで、精神的に追い詰められていく
フードバンクでのシーンが強烈に印象に残る
病気や離婚などで生活苦になり、公的な補助も受けられないというストーリー(そして現実にも)は、古今東西あるだろうけれど、このシーンは特別に響いた
イギリスでのフードバンクは、食品会社からの寄付(パッケージの不具合などによる)や、一般から学校や教会そしてスーパー(マーケット)に集められた日持ちのする食品や日用品の提供という形で「貧困対策」と「フードロス対策」を叶えている
この提供を受けるためには、学校や病院、そして役所などでバウチャー(紹介状)を発行してもらう
国内最大の規模を持つ「Trussell Trust」では2020/21年度に、emergency food percel(缶詰やパスタからトイレットペーパーなどがセットになったもの)250万個配給されたという(7千万人に満たない人口から考えても、かなりの割合)
救済の仕組みがあることは素晴らしいけれど、その規模が増え続ける傾向は純粋に大きな社会問題だし、役所の杓子定規な対応も酷すぎる(作品の中で実名で非難しているあたりもイギリスらしい)
2016年のイギリス・フランス作品
明日は、アフガニスタンが舞台の作品を紹介します