無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

387. ありがとう、トニ・エルドマン

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引用元:amazon.co.jp

 

2016年のドイツ・オーストリア映画

 

コミュニケーションを図ろうとふざけてばかりいる父親のヴィンフリート(ペーター・ジモニシェック)と、そんな父親の相手をする余裕の無い娘のイネス(ザンドラ・ヒュラー)

 

イネスはコンサルタント会社の仕事でドイツからブカレストに引っ越し、忙しい毎日

 

クライアントの要求に応えるべく残業に追われたり、頼まれる雑用を自ら買って出たりで、知らないうちにストレスを抱え込んでいた

 

契約を勝ち取るための大事なプレゼンを数日後に控えたある日、父親が予告もなくブカレストにやってくる

 

優しい娘は、仕事で忙しいにもかかわらず何とか父親をもてなそうと仕事上の移動に付き添わせるも、おとなしく出来ない父の悪ふざけで仕事にも悪影響(というかぶち壊し)してしまいイライラが頂点に達する

 

 

 

世の中にゴマンとある、お節介したくて仕方がない父親と、鬱陶しいと感じている娘の関係

 

そう考えると(映画の中とはいえ)こんなに優しい娘は珍しい

 

数々の自分勝手な行動を完全に拒絶することもなく、ダメな自分の相手をしてくれる娘がいてくれるなんて、何と幸運な父親だろう

 

子離れできていない親の罪を感じながらも、別に子離れできなくてもいい(それも幸せのひとつのカタチ)じゃないか、とも思う

 

監督のマーレン・アデは、ほぼ同世代(1976年生まれ)の女性とあって、イネスの気持ちがよくわかるのだろう

 

 

 

その優しい娘・イネスを「希望の灯り」では陰のある女性を演じていた ザンドラ・ヒュラーが体当たりで好演している

 

元々舞台でキャリアを磨いた人らしく、本作での(何度かある)感情の壊れ方、爆発の仕方に、流石だなと感心する

 

 ジャック・ニコルソンの主演でハリウッド・リメイクが予定されているとのこと