今回の出張は、スケジュールに余裕も無いし、お楽しみはゼロと思っていたけれど、ホテルを予約した後に、そのホテルから歩いて数分の距離に映画館があるのを知って
「どんな作品を上映しているんだろう?」
と、興味本位で確認してみたところ、カンヌ映画祭に出品された作品を週末限定で上映しており、その中にヴィム・ヴェンダース監督による本作を発見!
唯一、フリータイムのある、到着日の日曜日午後の上映で、しかも日本(渋谷)が舞台で、キャストも日本人という(フランス語の話せない)、あり得ない幸運が重なっていることを知り、慌てて席を予約
コチラが事前に予約しておいたeチケット(値段は €14.20)
無口な男、平山(役所広司)の仕事は、トイレの清掃員
ひとりで住んでいる浅草のアパートから、車で渋谷区にある17か所の公衆トイレ(後述する THE TOKYO TOILET)を、もう一人の清掃員タカシ(柄本時生)とシフト分けして、清掃していく
朝、まだうす暗い時間に起きて、歯を磨き、小さな植木に水をやり、作業着に着替えてから出発する
駐車場にある自動販売機で缶コーヒー買い、好きなカセットテープをセットして聴きながら、最初の清掃場所に向かう
途中、トイレの近くにある神社のベンチで昼食をとり、午後の作業を終えて、近所の銭湯が開く頃には、(近所のお年寄りに混じって)一番風呂に入る
一見、ルーティンをこなしていくだけの退屈な生活、職場でもほとんど会話することもないけれど、新しい植木として育てる小さな枝を見つけたり、好きな大樹の写真を毎日撮ったり、パティ・スミスや、ヴァン・モリソン、サ・キンクス、オーティス・レディングなど、好きなカセットを選んで車で聴いたりと、たくさん「ひとりのお楽しみ」を持っている
そして夜は、行きつけの大衆酒場、或いは女将(石川さゆり)のいる小さな料亭に行き
軽く飲み、眠くなるまで読書する一日
THE TOKYO TOILETというプロジェクトで、隈研吾、安藤忠雄、マーク・ニューソン、NIGO、佐藤可士和など、錚々たる建築家やデザイナーが、渋谷区エリアに公衆トイレを作っている
まだ4か所しか行ったことはないけれど、見覚えのある場所がたくさん映るので、親近感が湧いてしまう
海外ではトイレを探すのにひと苦労、あったとしても汚かったりするけれど、こんな素敵トイレまで出来てしまうと、ますます東京から離れられなくなってしまう
というのは大袈裟にしても、都市における「暮らしやすさ」のひとつではあるだろう
タイトルのPERFECT DAYSは、作中での使用されているルー・リードの曲から(曲のタイトルには最後に s が付かない)
映画監督、役者、建築デザイン、そして音楽まで
こんなに好きな要素が揃った映画を、パリで観られるなんて、それこそPERFECTだ
上映前の館内の様子(映画が始まる時には、ほぼ満席)
明日は、1987年のハーレムが舞台の作品を紹介します