無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

670. PERFECT DAYS

 

 

今回の出張は、スケジュールに余裕も無いし、お楽しみはゼロと思っていたけれど、ホテルを予約した後に、そのホテルから歩いて数分の距離に映画館があるのを知って

 

「どんな作品を上映しているんだろう?」

 

と、興味本位で確認してみたところ、カンヌ映画祭に出品された作品を週末限定で上映しており、その中にヴィム・ヴェンダース監督による本作を発見!

 

唯一、フリータイムのある、到着日の日曜日午後の上映で、しかも日本(渋谷)が舞台で、キャストも日本人という(フランス語の話せない)、あり得ない幸運が重なっていることを知り、慌てて席を予約

 

コチラが事前に予約しておいたeチケット(値段は €14.20)

 

 

 

無口な男、平山(役所広司)の仕事は、トイレの清掃員

 

ひとりで住んでいる浅草のアパートから、車で渋谷区にある17か所の公衆トイレ(後述する THE TOKYO TOILET)を、もう一人の清掃員タカシ(柄本時生)とシフト分けして、清掃していく

 

朝、まだうす暗い時間に起きて、歯を磨き、小さな植木に水をやり、作業着に着替えてから出発する

 

駐車場にある自動販売機で缶コーヒー買い、好きなカセットテープをセットして聴きながら、最初の清掃場所に向かう

 

途中、トイレの近くにある神社のベンチで昼食をとり、午後の作業を終えて、近所の銭湯が開く頃には、(近所のお年寄りに混じって)一番風呂に入る

 

一見、ルーティンをこなしていくだけの退屈な生活、職場でもほとんど会話することもないけれど、新しい植木として育てる小さな枝を見つけたり、好きな大樹の写真を毎日撮ったり、パティ・スミスや、ヴァン・モリソン、サ・キンクスオーティス・レディングなど、好きなカセットを選んで車で聴いたりと、たくさん「ひとりのお楽しみ」を持っている

 

そして夜は、行きつけの大衆酒場、或いは女将(石川さゆり)のいる小さな料亭に行き

軽く飲み、眠くなるまで読書する一日

 

 

 

 

 

THE TOKYO TOILETというプロジェクトで、隈研吾安藤忠雄マーク・ニューソンNIGO佐藤可士和など、錚々たる建築家やデザイナーが、渋谷区エリアに公衆トイレを作っている

 

まだ4か所しか行ったことはないけれど、見覚えのある場所がたくさん映るので、親近感が湧いてしまう

 

 

 

 

海外ではトイレを探すのにひと苦労、あったとしても汚かったりするけれど、こんな素敵トイレまで出来てしまうと、ますます東京から離れられなくなってしまう

 

というのは大袈裟にしても、都市における「暮らしやすさ」のひとつではあるだろう

 

 

 

 

タイトルのPERFECT DAYSは、作中での使用されているルー・リードの曲から(曲のタイトルには最後に s が付かない)

 

映画監督、役者、建築デザイン、そして音楽まで

 

こんなに好きな要素が揃った映画を、パリで観られるなんて、それこそPERFECTだ

 

上映前の館内の様子(映画が始まる時には、ほぼ満席)

 

 

 

明日は、1987年のハーレムが舞台の作品を紹介します

 

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