無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

613. 眩暈

 

池袋にある新文芸坐(初めて行った)まで、ururundoさんに教えてもらった「眩暈」を観に行く

 

当日のみの上映ということで、チケットは完売

 

ジョナス・メカス

 

2019年に96歳で他界したアメリカの詩人であり、映画監督

 

リトアニアの出身で、ナチスに捕らえられ強制収容キャンプに収容された(後に脱出し、数年後に難民船でニューヨークに渡る)

 

そんなメカスを師と仰ぎ、また友として50年以上の交流があった日本の詩人・吉増剛造が、亡くなって1年後の2020年1月に、ニューヨークに向かうドキュメンタリー映画

 

 

メカスの自宅を訪ね、息子のセバスチャンに再会し、亡くなる前は特に苦しむことも無く弱っていったと聞き、安堵する

 

 


吉増剛造は、詩人と聞いてイメージするタイプの人ではなく、即興的であり、パフォーマーであり、偶発性を大切にしているように見える

 

上映後には、いとうせいこうとのトークショウと朗読があった

 

映画の内容は、一度観れば納得(理解)というものではなかったので、ふたりの話が聞けたのは、とても有難かった

 

印象的だったのは、(実際には、監督の井上春生吉増剛造に質問していたけれど、その部分はカットして)吉増剛造の問わず語りのように編集したことについて、いとうせいこう

 

「こういう編集にすると、発言のすべてを吉増さんが背負わなくてはならなくなりますよね」

 

と聞き、吉増剛造がその真意を説明した後、逆に「テレビではどうするの?」と聞かれると

 

「視聴者が気軽に観られるように、誰の責任にもならない作り方が求められる」と答えていたところ

 

 

そして朗読では、吉増剛造が立ち上がり、大きな声で叫ぶ一方で、座ったままのいとうせいこうが、時に遅れて、時に同時に、吉増剛造と同じ言葉を、抑制を効かせて合いの手を入れていくスタイル

 

詩が断然、立体的に感じられる、新鮮な体験だった

 

 

ああ、やっぱりニューヨークに行きたいなあ

 

 

 

明日は、いかにもアメリカ映画な、1983年のあの作品を紹介します

 

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