無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

535. やまぶき

 

 

映画に関係ない話だけれど、10代の頃は一番好きな色が「やまぶき色」だった

 

その頃は(恥ずかしながら)山吹の花を見たことがなくて、「ニューヨークのイエローキャブみたいでカッコ良いな」という、浅はかな発想だった

 

初めてニューヨークに行った時に、やまぶき色をしたシボレーのタクシーよりも、(薄い)レモン色したフォードのタクシーが圧倒的に多くてガッカリしたのを覚えている

 

やまぶき色以外は別に好きな色ではないから、「黄色っぽければOK」というワケにはいかない

 

オレンジでも黄色でもなく、赤味がかった黄色でないとダメ

 

もう今では、一番好きな色ではなくなってしまったけれど(笑)

 

 

 

奇跡的なレベルで、上映時間や場所が噛み合わず、危うく劇場で観る機会を逃すところだったけれど、何とか横浜ジャック&ベティにて鑑賞

 

 

 

岡山県真庭市にある採石場( ↓ 赤く囲ったところが真庭市

 

ベトナム人労働者たちを指導しながら働いている韓国人のチャンス(カン・ユンス)は、かつて乗馬競技の有望な選手だった

 

ところが父親の会社が倒産して多額の借金を抱え込んだことで、この場所に流れ着く

 

真面目な勤務態度や人柄が評価され、「正社員にしたい」という会社からの打診もあり、(正式な夫婦ではないけれど)幼い娘を抱えた女性との暮らしも楽しく、貧しくも微かな希望が見える日々を送っていた

 

 

同じ真庭市に住む女子高生の山吹(祷キララ)は、戦場ジャーナリストの母が(現地で)亡くなってからは、自分が何処に向かっているのか自問する毎日

 

山登りが好きな警察官の父親との二人暮らしも、最近は険悪な空気になりがち

 

 

そんなある日、沖縄の基地問題憲法第九条についてのメッセージボードを掲げた人たちを、交差点で見かけた山吹は、自分もボードを作成してサイレントスタンディングに加わる

 

 

その頃、軽トラで山道を運転していたチャンスは、突然の落石によって大怪我を負ってしまう

 

 

お腹にズシンと来る作品だった

 

 

高校生の娘に、親として考えを押し付けて良いものか?

 

希望の芽が潰えても、前を向いて生きて行かなきゃ、というのは辛過ぎないか?

 

散々不幸を押し付けられた後に、誰にも気づかれない犯罪でやり直せるとしたら?

 

正解に辿り着くためではなく、唯、漠然と考えさせられた

 

 

 

明日は、再びフレンチ・フィルム・フェスティバルから

 

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