引用元:nikkatsu.com
小林旭を最初に観た時には既に恰幅の良いオジサンだったから、先日「多羅尾伴内」を観た時にも「若いなあ」としか思わなかったけれど、本作はそれよりも約20年前の1959年の作品
何と言ってもスリムで、顔の輪郭もシャープな印象
「多羅尾伴内」はキャラクター的に特異な存在だから不思議には思わなかったけれど、アイドルでもなく貫禄で勝負するでもない中間的な時期だったのだろうか
本作では地元の土佐でも、東京でも女性に助けられる主人公の役がサマになっている
タイトルはペギー葉山のヒット曲から
作中、本人も(本人役で)この曲を歌っている
戦後十数年の東京
高知から上京してきた譲司(小林旭)は、悪い奴らに賭博の世界に引きずり込まれしまい、賭場での諍いで傷害事件を起こしてしまう
刑期を終え出所する譲司は、塀の外で待っていた仲間を振り切り、母親と恋人の待つ高知でやり直そうとする
戦死した兄の写真の前で「これからは自分が母さんを支えていく」と誓う譲司
地元で働き口を探し採用が決まっても、譲司を追って東京から来た昔の仲間が(譲司に前科があることを)密告して不採用になってしまう
しかもかつての恋人春江(浅丘ルリ子)は、死んだ父親の借金のカタに地元のヤクザ北村(内田良平)と婚約させられていた
地元での再起にすっかり絶望した譲司は、再び東京で更生を目指そうと故郷を後にする
東京に向かう電車の中で、譲司と同じく高知に帰省していた麻子(中原早苗)と再会
譲司に惹かれていた麻子は偶然を装って隣の席に座り、自分の姉で譲司の兄の元婚約者でもあるはま子(南田洋子)が営む東京の割烹に世話になることを勧める
はま子は快く譲司を迎え、譲司も麻子の猛烈なアプローチをかわしながら就職活動をするも、再び昔の仲間の横槍が入ってしまう
いわゆる「不運な偶然で悪に手を染めてしまった主人公が、更正を目指すも悪者に足を引っ張られてなかなか抜け出せない」というパターンで、ストーリーは単純ながら「やり尽くされていない新鮮さ」が感じられる
そして当時の東京の映像も楽しめて最後まで飽きさせなかった
譲司をしつこく追い回す昔の悪い仲間の役(ベレー帽をかぶり、両性的なキャラクター)を西村晃が演じている
明日は、何と言ってもロザムンド・パイクが印象的な作品をご紹介