無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

726. 家族を想うとき

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引用元:amazon.co.jp

 

↑ のポスターに書かれている「わたしは、ダニエル・ブレイク」監督最新作

 

とあるけれど、普通にケン・ローチ監督最新作でよくない?(ケン・ローチと知らずにダニエル・ブレイクを観た人が何割居るのだろう?)

 

 

2019年のイギリス・フランス・ベルギーの作品

 

原題は「Sorry, We Missed You」(宅配便の不在票)

 

邦題は意味的にはズレていないけれど、ぼんやりした印象

 

 

 

今から十数年前、建築会社に勤めていたリッキーは、妻のアビー、そして息子のセブと暮らす家を買おうとローンを組む

 

しかし、その直後に起こった金融危機で仕事も家も失い、短期雇用で食い繋ぎながら賃貸住宅で暮らしてきた

 

そして娘のライザも生まれるも借金は増え続け、アビーは早朝から深夜まで介護訪問の仕事に精を出している

 

リッキーはこの状況を何とか好転させようと宅配ドライバーとして(運送会社の従業員ではなく)対等なフランチャージーとして契約をする

 

配送に使うトラックは会社からの割高なレンタルを嫌い、アビーが介護に使っている車を売却してそれを頭金にして購入した

 

そのお陰でアビーはバスでの移動を強いられるも「しばらくこれで我慢すれば家が買える」というリッキーの言葉を信じ、それに賭けてみることに

 

 

 

ところが、個人事業主としてのフランチャイズ契約では病気になっても保険はなく、替わりのドライバーの手配も自分でケアすることに(それが出来なければペナルティを支払い羽目に)

 

そんな切羽詰まった状況にもかかわらず、思春期に入って扱いが難しくなったセブのお陰で学校から呼び出しが掛かったり、警察から万引きしたという連絡が入ったり、挙句の果てには口論の末に、リッキーがセブを殴ってしまう

 

 

 

 

ケン・ローチ監督作品が大好き、という前提ながら

 

「よくもまあ、こんなに救いのない作品をつくるものだ」

 

と思ってしまう

 

いつもながら、主人公は苦しい環境に置かれ(大抵はツキにも見放され)、十二分に同情する余地はありながらも、大事なところでキレてしまったり失敗したりして、状況は「これでもか、これでもか」と暗転

 

本作でも、安易にフランチャイズ契約をしてしまったり、顧客に手を上げてしまったりするリッキーのことを100%の被害者と見做してはいけない(この辺をグリグリと掘り続けるところがケン・ローチの世界)

 

不幸の遠因が、政府や近代的な仕組みにある、というメッセージなのだろうけれど、80歳を越えて「怒り」の方向に創作意欲が向いていることに純粋に驚かされる

 

最後の最後ではわずかな希望が見える?

 

か否かは観てのお楽しみ

 

 

明日は、やっと(劇場で)観ることができた沖縄映画をご紹介