無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

439. 夜明けまでバス停で

 

池袋のロサ会館にて鑑賞

 

 

昼間は自作のアクセサリーを間借りしている喫茶スペースで販売、そして夜は居酒屋でバイトという生活を送っている三和子(板谷由夏

 

バイトとはいえ10年以上働き、その会社の借り上げ社宅に住んでいる

 

イケ好かない若造のマネージャー(三浦貴大)と、その言いなりになっている年下の女性店長の千春(大西礼芳)にはムカつくけれど、同僚の小泉さん(片岡礼子)や、フィリピン人のマリアさんルビー・モレノ)とは仲良く支え合っている

 

仕事はキツイし決して裕福ではないけれど、折り合いの悪い実家を離れ、気ままな一人暮らしを続けていた

 

 

ところが、2020年に新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、正規雇用でない三和子たちは居酒屋をクビになり、アパートも追い出されてしまう

 

取り急ぎ三和子は、住み込みの介護施設での仕事を見つけるも、感染拡大で施設が当分閉まることになり、雇用もキャンセルされてしまう

 

今さら実家というワケにもいかず、緊急避難先として思い浮かべたマンガ喫茶さえ閉鎖されていることを知り、絶望する三和子

 

最終的にたどり着いたのは、最終便が出た後のバス停だった

 

 

 

 

この二年半、同じ国で過ごしてきた者として振り返る意識で観始めたけれど、ニュースの断片でしか知らなかった厳しさを改めて突きつけられた

 

後半、政府に対する怒りがぶつけられるシーンで興醒めする人もあるかもしれないけれど、映画の構成としては適切ではあるし、このシーンが無かったら息苦しいものになっていただろう

 

その怒りを表現する台詞に「間尺に合わない」という表現が使われたのが印象的だった

 

 

少し前に、「日本の貧困者は、薬物もやらず、移民でもなく、無学でもなく、怠惰でもなく、勤勉で労働時間も長い、スキルが低いわけでもない 世界でも例の無い、政策のミスによる貧困」というコメントが話題になったのを思い出した

 

この出処はカナダの大学ではなく、アメリカの経済学者ノア・スミスの意見をブルームバーグが記事にしたもの

 

内容も若干異なっていて、貧困の原因が政策にあるのは日本に限らない、という意見

 

しかし、フェイクニュースのように上記(太字)が話題になったり、共感を得た理由もわかる気がする

 

貧困を個人のせいにするか否か、は難しい議論ではあるけれど、2020年から2021年にかけて、三和子の様に苦しんだ人たちが多くいたこと、その問題はまだ解決されていないことを痛感させられた

 

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