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1993年の黒澤明監督作品
公開後、闘病生活に入り1998年に亡くなったため、本作が遺作となってしまった
大学でドイツ語を教えている百閒(松村達雄)は、随筆家として余生を過ごすために大学を辞める決心をする
彼を慕っているかつての教え子たちは、それからもずっと先生の家に足を運び、顔を見に来ていた
しかし時は戦時中、先生の自宅も空襲で焼けてしまい、妻(香川京子)とふたりでバラック小屋で生活することになる
それからも教え子たちの奔走によって暮らしを維持し、しばらくして新居も用意された
そしてそんな先生の長寿を祝おうと「まだ成仏しないのか?」というブラックジョークを込めて「魔阿陀会」(まあだかい?)と名付けた催しをひらく
催しの最中はもちろん、普段の酒の席でも、この初老の先生と大勢の中年男性はすぐに大声で歌い始める
まるで異質なミュージカル
描かれているのは戦中、戦後の民間人の毎日ながら、死を意識し始めた老人のノスタルジーを半ばファンタジー的に展開していくので、他の映画作品よりもゆったりとした心持ちで眺める作品
先生役のモデルは、夏目漱石の門下生で法政大学教授だった内田百閒
本作のキャッチ・コピーは
「今、忘れられているとても大切なものがここにある」
公開から約30年が経ち、さらに忘れられた、というか今の10-20代にはこのテンポの映画作品は厳しいだろうなと勝手な心配をしてしまう