引用元:Yahoo!映画
2010年の作品
北海道の増毛町に住む元漁師の老人、忠男(仲代達矢)は、妻にも先立たれ、孫娘の春(徳永えり)と二人で暮らしていた
物語は、忠男が家を飛び出し、春がそれを追いかけるところから始まる
給食を作る仕事をしていた春は、廃校によって仕事を失う
忠男は、春が東京に出て働く機会を自分が邪魔するわけにはいかないと、悪い足を引きずりながら宮城県の各地にいる親族のどこかに居候させて貰えるよう頼もうとする
長い期間会っていなかった親族と触れ合うことで浮かび上がってくるもの、人間の狡さ、優しさ、厳しさ、忘れられない、取り消せない確執
改めて祖父という人間の歴史に触れて、春はこれからの生活を考え直し始める
「孤独さえ覚悟すれば好き勝手に生きられる」と思いこんでいた頑なな老人
老いて人の世話になるということは、それさえも叶わないという厳しい現実に迫られ、忸怩たる思いをしながら孫娘と移動を続けるロード・ムービー
胸が締め付けられるようなストーリーながらも、分厚い氷を忠男がはじめて認識し、もがき始めることで(残された時間で溶けるものではないかもしれないけれど)微かな光が差し込んでくる
鑑賞中にうんうん唸りながらその世界に入り込んだ作品
登場時間は短いけれど、脇を固める俳優陣の名演が本作をさらに特別なものにしている
たまに、こういう「ズシンと心に響く」作品に出合えるのも映画鑑賞の醍醐味